悲しき戦記 光人社名作戦記4
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悲しき戦記 光人社名作戦記4

伊藤桂一(著者)

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悲しき戦記 光人社名作戦記4

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 光人社
発売年月日 2003/01/14
JAN 9784769811046

悲しき戦記

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2024/03/19

太平洋戦争における軍人や軍属の死者数は約230万人に上る。外地移住者が住み戦地になった国や国内の沖縄のような戦地、空襲等の爆撃を受けた各都市での民間人の死者数を加えれば300万人を優に超えている。一つの戦争の歴史と捉えて仕舞えば、その圧倒的な死者数に見えるのは多くの人々がアメリカ...

太平洋戦争における軍人や軍属の死者数は約230万人に上る。外地移住者が住み戦地になった国や国内の沖縄のような戦地、空襲等の爆撃を受けた各都市での民間人の死者数を加えれば300万人を優に超えている。一つの戦争の歴史と捉えて仕舞えば、その圧倒的な死者数に見えるのは多くの人々がアメリカを始めとする連合軍との戦争という一つの戦史の中に記録としてだけ残る数字でしかない。無論、戦争を扱った書籍や映画などからも、そうした数字を残す凄惨な戦いや、広島長崎の様な原爆被害も想像することができる。そこには沢山の兵士が武器も不十分なままアメリカ兵に薙ぎ倒される姿、家財を荷車に載せて逃げ惑う人々、川に飛び込んで亡くなった遺体の山々等、何処となく軍隊や民衆といった単位で失われていく命をワンカットで見ている様な気がしてくる。実際そこに居て亡くなった人間一人一人のドラマが有るはずなのに、何故か塊の様に感じてしまう。 本書は戦史としての単なる記録ではなく、その一つ一つの命にフォーカスした作品である。勿論筆者の創作によるフィクションではあろうが、まさに戦場で兵士として戦った経験から作り出されたものであり、戦場の風景や兵士の息遣いまでもが聞こえてくるようなリアルさがある。何よりそこに居る兵士の心情、死に際の心の動き、それを取り囲む人々の感覚は全て本人が体験したのでは無いかと思う程、生々しく描かれている。 誰しも戦争での死は怖い。どんなに強がっても隠そうとしても死は最上級の恐怖として兵士たちに襲いかかってくる。それを各自がどの様に感じ、どう受け止めるか。戦友や恨みを抱いた上官の死をどう捉えるか。兵士一人一人の最後の瞬間に立ち会うかの様に語られていく本書は、読み進める度にその最後の場所の周囲の風景や空気、風の流れから匂いまでが鼻に入ってくる様な感覚に陥っていく。その様な中で兵士たちが自身の最後の行為を振り返り、果たしてそれが正しかったのか間違っていたのか苦悩する姿が見えてくる。その心の動きまでもが自分の心と共鳴し合って、時折、息苦しくなりさえもする。 今私が平和な時代に生まれ、死の恐怖とは遠い世界に身を置きながら、自身の死に対する何の不安もなく、身の危険も感じず生きられるのが不思議な位、そう遠く無い時代にこの様な無数のドラマが太平洋を取り囲み生まれていた。そして間も無くそれらを経験した世代も失われていくであろう。それは平和だから良いという単純な考えではなく、その平和自体が今何故我々の身近に存在するのかを改めて考えさせられる。 道端に咲く草花や、青く澄んだ空を白い尾をなびかせて泳ぐ旅客機。桜の下で写真を撮るカップル、幼稚園の校門から手を繋いで出てくる親子の姿。色とりどりのファッションに身を包んで街に繰り出す若者たち、公園のベンチで日向ぼっこする初老の夫婦。全てが平和で愛おしく感じられるのは、本書で描かれるような兵士たちの犠牲の上に成り立っているのかもしれない。

Posted by ブクログ

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