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虫たちの化学戦略 盗む・欺く・殺す
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虫たちの化学戦略 盗む・欺く・殺す

ウィリアムアゴスタ(著者), 長野敬(訳者), 赤松真紀(訳者)

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虫たちの化学戦略 盗む・欺く・殺す

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 青土社
発売年月日 2002/12/30
JAN 9784791760022

虫たちの化学戦略

¥385

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2012/11/14

自然界における、生物たちの化学物質を用いた生き残り戦略を紹介する 『マイクロワールド』を読んでいたら、ムカデが青酸を放出したり、蝶がフェノールを分泌するといった描写があり、虫たちが「武器」として化学物質を使っているのが興味深かった。上記作は小説だが、実際の研究はどうなっているの...

自然界における、生物たちの化学物質を用いた生き残り戦略を紹介する 『マイクロワールド』を読んでいたら、ムカデが青酸を放出したり、蝶がフェノールを分泌するといった描写があり、虫たちが「武器」として化学物質を使っているのが興味深かった。上記作は小説だが、実際の研究はどうなっているのかと探していて引っかかったのが本書。 原題は”Thieves Deceivers and Killers Tails of Chemistry in Nature”。 邦題は「虫たちの」とされているが、虫が中心ではあるものの、虫に限った話題ばかりではない。また、「武器」としての化学物質というよりは、誘引物質等の「シグナル」として用いるものの話が多かった。 そういう意味では自分が読むきっかけとなったものと少々方向性が違うはなしではあったが、非常に興味深い事例が多く紹介されている。 特におもしろかったのは、第5章「生きる術としての盗み聞き」や第6章「もの真似と盗みによる成功」。 他の生物に寄生するものが、その生物と同じ「匂い」を身につけることで、また逆に自分の「匂い」を消すことで、獲物に見つからないようにする。虫にとっては視覚的に似せることよりも、化学物質をまとって真似をすることの方が有効であるようである。 化学物質を媒介とした生態系の話も興味深く読んだ。 ある種のランは、ある種のハチの生存に必要な化学物質を分泌する。この化学物質がハチにとってはご褒美となり、惹きつけられたハチは授粉を担う。ただあまり特化されすぎたシステムには弱点もある。授粉媒介者が駆除されると植物自体も絶えることになってしまう。 磁性を感じる細菌(Aquaspirillum magnetotacticum)の話も興味深い。この細菌は、体内にマグネタイト(酸化鉄の一種)を持ち、いつでも北に向かって泳ぐ。ポイントはこの細菌が北半球に住んでいること。細菌に取って重要なのは、実は方角ではなく、上か下かということ。北半球では磁針は下を指す。細菌は自身の生育に適した、酸素が少ない沼の底を目指しているのだという。 渡り鳥など、磁場を感じていると言われている生物は多いが、もしかしたらそういうところにも広がっていく話かもしれない。 化学物質にはある生物種しか作れないものというのがある。 ニコチンを作れるのはタバコとその近縁種のみであり、コカインを作れるのはコカとその近縁種のみである。植物はその物質を作って、動物から身を守ったり、栄養分を蓄えたりする。 自然界は潜在的に役に立つ物質の宝庫であるともいえる。まだまだ知られぬ有用物質はおそらく、数限りなくある。 証明されていない話も多く、細かい点が不明である事柄も多い。が、化学物質という切り口で見ていくと、知られざる魅惑的な世界が広がっていることが感じられる。 *いささか訳が硬いと思う。それと、細かいことだが、化学名や生物名の日本語表記に違和感があるものがあった。特に「v」の入る言葉の表記。フラヴォノイドやレスヴェラトロールは、通常、フラボノイド、レスベラトロールと書くだろう。ビタミンをヴィタミンとは書かないのと同じだと思うのだが。ヴィブリオもどうかと思う。 *巻末の索引は和訳語と原語が併記されていて、これは使い勝手がよかった。 *粘菌に似た生活史を持つ、粘性桿菌(Myxococcus xanthus)というのがいるんだそうである。これは化学物質云々とは別におもしろそうな生きものだ。

Posted by ブクログ

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