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彼方 創元推理文庫
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彼方 創元推理文庫

ジョリス・カルル・ユイスマンス(著者), 田辺貞之助(訳者)

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彼方 創元推理文庫

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 東京創元社/
発売年月日 1975/03/25
JAN 9784488524012

彼方

¥935

商品レビュー

3.9

9件のお客様レビュー

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2010/05/28

幻想文学の古典的名作…

幻想文学の古典的名作。澁澤龍彦が好きな人にもお勧めです。

文庫OFF

2023/06/03

『さかしま』を初読した際、全身の神経が沸々と湧き立ったのを覚えている。 ユイスマンス文学の妙味を味わうと、あと戻りはできない、常にこの世界に浸りたいとさえ思わせてくれる、そこまで強烈な読書体験だった。 構成の乱雑さや話運びのかったるさは相変わらずあるものの、『彼方』のうちにはジル...

『さかしま』を初読した際、全身の神経が沸々と湧き立ったのを覚えている。 ユイスマンス文学の妙味を味わうと、あと戻りはできない、常にこの世界に浸りたいとさえ思わせてくれる、そこまで強烈な読書体験だった。 構成の乱雑さや話運びのかったるさは相変わらずあるものの、『彼方』のうちにはジル・ドレと悪魔崇拝の儀式、この二つを執拗なまで丁寧な描写で描いているというデカすぎる魅力がある。 近代オカルト芸術の重要作なことは間違いない。 どんだけ調べたんだよ。 アランムーアの作品とも通じるポストモダン性。

Posted by ブクログ

2021/12/01

デカダンスの聖書といわれる『さかしま』の発表から7年後、ユイスマンスは、黒ミサ小説と異名をとる『彼方』を発表する。 『彼方』における主たる興味は、2つある。 ひとつは、この書物で語られる、ジル・ド・レへの興味。 もうひとつは、ユイスマンスの悪魔主義、魔術幻想主義への傾倒の過...

デカダンスの聖書といわれる『さかしま』の発表から7年後、ユイスマンスは、黒ミサ小説と異名をとる『彼方』を発表する。 『彼方』における主たる興味は、2つある。 ひとつは、この書物で語られる、ジル・ド・レへの興味。 もうひとつは、ユイスマンスの悪魔主義、魔術幻想主義への傾倒の過程である。 ジル・ド・レこと青髯と呼ばれることになる元帥が生まれたのは英仏百年戦争の最中である。 ジルは、西フランスに広大な領土を持つ貴族の嫡男として生まれるが、両親を早くに亡くし、後見人の祖父が亡くなって、ますます莫大な遺産を相続する。 当時のフランスの戦況は劣勢も劣勢で、狂王のシャルル6世の統治不能から国も乗っ取られかねない状況下であった。 后の、イザボー・ド・バヴィエールは、息子は不義の子であるというような発言をし、6世亡きあと、のちのシャルル7世は王太子と呼ばれ、田舍貴族たちの擁護を受けつつ、シノン城に閉じこもっていた。 そこへ、神のおつげを受けたというジャンヌ・ダルクという小娘が現れる。 ただ見捨てられた存在に成り下がっていたシャルルにとって、この奇妙な田舍娘の出現は、物珍しい出来事であったに違いない。 シャルルは、若い大貴族のジル・ド・レをジャンヌの護衛に当たらせ、ジルはジャンヌと共に出兵する。 奇跡のような勝利戦が続き、オルレアンを解放後、ランスで王太子シャルルをシャルル7世として戴冠させる。 戴冠を実現させてもジャンヌは、戦をやめようとしなかった。 決定的な負け戦の前に、ジル・ド・レは姿を消したといわれている。 しかし、囚われて火刑の決まったジャンヌを救おうとルーアンに乗り込み、その望みを果たすことができず、黒こげになるジャンヌをジルは目撃したとか。 ジャンヌ・ダルクという少女は、聖性を纏っていたという。数々の奇跡や勝利を目の当たりにしたジル・ド・レは、ジャンヌとの日々をどのように過ごしたのだろう。 ジャンヌが処刑されたあと、彼は自分の城に閉じこもった。 そして聖堂を建てた。 その聖堂は、ジョット、ルーベンスなど多くの画家も主題にして描いている、ヘロデ王の幼児虐殺によって殺された幼児の御霊を安らかにするために建てられたものだった。 イエス降誕を恐れてヘロデは、ベツレヘムの2歳以下の男児を一人残らず殺させた幼児虐殺は、新約聖書の中でも悲惨さが特に漂う箇所だ。 その聖堂に未成年の聖歌隊をおき、ジルは特に彼ら少年を可愛がったという。 そんなジルが、なぜ、数多くの少年を惨殺するようになったのか。 錬金術、黒魔術に興味を持ち、イタリア人の黒魔術師が城にやってきてから、黒ミサはますます、異常性を増し、幼児、少年を生贄にするようになったと言われているが、ジルはもともと男色者であったと言われており、儀式という意味だけではなく、少年を残忍な方法で殺害する時、性的快楽が伴ったのも間違いないようだ。 ユイスマンスは『彼方』で、主人公をジル・ド・レの一代記を書く小説家として設定し、彼の筆を借りて、ジルの生い立ちから栄光、悪行、ジャンヌと同じ火刑で生涯を終えるまで を生々しく描いている。 友人の医者、サン・シュルピスの鐘撞き夫婦(ユゴーの創造したカジモドとは全く違うキャラ)浮気な夫人などを登場させて脇を固め、 ブーランをジョアネ博士として登場させている。 ユイスマンスは『彼方』執筆の資料や情報を得るためにブーランに近づいたと、澁澤は『悪魔のいる文学史』のなかで述べているが、ユイスマンスのそういう傾倒の兆しは、たぶん『彼方』執筆以前に芽生え、ブーランとの交流によりより深まったといえるのかもしれない。 ブーランに好意的なユイスマンスは、文中でブーランと敵対関係にあったガイタを叩き、ブーランが死亡した際は、フィガロその他の紙上で、ブーランの死因はガイタの呪いにあったと発表し、争いが繰り広げられた。 ガイダが亡くなり、これらは終焉を迎えたが、その後、ユイスマンスは改宗し、宗教題材の作品を発表したのち、ベネディクト派の法衣を着て死去した。 ゾラのエピゴーネンとして出発し、自然主義を捨て、『さかしま』で退廃的世界を構築し、『彼方』で魔術やオカルティズムにどっぷり浸かった作家は、ジル・ド・レとは違い、晩年は聖なる領域に近づこうとした。 ジャンヌ・ダルクは火あぶりにされながら「イエス・イエス・イエス」と三度、主の名を叫んだと言われるが、悪魔への生贄と称して幼児少年を大虐殺したジル・ド・レは、火に焼かれながら「ジャンヌ・ジャンヌ・ジャンヌ」と叫んだという。 聖なるものと悪魔的なものが交錯する時、必ずどちらかに勝負をつけたがる。 すなわち、どちらにも近づきすぎるデンジャラス・ゾーンに足を踏み入れた作家がJ-K・ユイスマンスだと思えなくもない。

Posted by ブクログ

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