鉄道ファン生態学 マイロネBOOKS8

日下部みどり子(著者)

• 販売会社／発売会社: JTB/
• 発売年月日: 2002/10/01
• JAN: 9784533043376

商品レビュー

2018/08/02

日下部みどり子さんが亡くなつてから十年経ちました。
みどり子さんは、テツでもありますが、グラフィックデザイナーとかカメラマンとか色色な肩書を持つマルチクリエイターでした。
そして何より、歌舞伎町の女装スナックで働く女装子でありました。
むむ、それは俺には無縁の世界だな、と思ひますか。実はわたくしも同様だつたのですが、この『鉄道ファン生態学』をきつかけに、彼（彼女？）の世界にのめり込んでいきました。

本書は鉄道マニアをそのウェブサイト上から細かく分類し（撮影党・実踏党・駅舎党・時刻表党・模型党・コレクション党・マルチメディア党・鉄道施設党・考古学党・資料考察党・グルメ党・イラスト党・女流党の１３に分類）、それぞれのサイトを紹介し、テツたちに対する愛情にあふれた文章が並びます。
そして最後の「女流党」には、自身のサイトを載せてゐます。本人曰く「婦人服を着て過ごすことが多いとはいえ、生物学的に男性である以上、女流のカテゴリーに入れるのはルール違反という気もしないではないがご愛敬ということで許していただきたい」と言ひ訳（？）をしてゐるのが面白い。

普通の女装子にはまるで関心がないわたくしが、何故みどり子さんだけ（ひつそりと、ですが）応援してゐたのか自分でも分かりません。ホームページも頻繁にチェックしてゐましたが、政治や社会に関はる発言はむしろわたくしとは相対するものでした。それでもみどり子さんの言ふ事には、ふむふむと納得する事も多かつたのです。
残念ながら、「日下部みどり子公式サイト」は閉鎖されてゐて、その活動、発言を閲覧することはできません。せめて本書でありし日の彼女を偲びませう。

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