古代エジプトの“人生"の遺産 青春新書INTELLIGENCE

吉村作治(著者)

• 販売会社／発売会社: 青春出版社/
• 発売年月日: 2002/05/07
• JAN: 9784413040181

商品レビュー

2015/06/04

(2015.06.04読了)(2010.02.22購入)
「四大文明 エジプト」吉村作治・後藤健編著、日本放送出版協会、2000.07.10
を読んだついでに、この本も読んでしまうことにしました。
古代エジプトの生活・思想・文化を紹介している本です。現代日本のそれと比較して、古代エジプトの優位性を言われると、そういう面もないわけではないけど、別の面もあるんじゃないの、と言いたいところですが。
エジプトの思想がもとになって、西洋文明につながった面もあるので、影響力の大きさは、すごいことはたしかです。文字で書き残されており、解読できるというのも、強みですね。
砂漠で保存がいいので、砂の下にまだまだ残っているというので、発掘でまだまでいろんなことがわかってくるのでしょう。
発掘が続けられるためにも、エジプトが、軍事でもなく宗教でもなく、民主的な安定した政治が行われる日が早く来ることを祈りたいものです。

【目次】
序章　知られざる「人生の遺産」の発掘
１章　古代の痕跡が語る「簡素で豊かな生活」
２章　消えた〝家族の絆〟を読み解く
３章　生きる財産となる〝知〟の再発見
４章　自然のサイクルを今に生かす知恵
５章　古代エジプト人が残した「幸福の思想」
あとがき

●休日(61頁)
当時の暦では一週間は10日で、9日働いて1日休む。このサイクルで生活は回っている。
●王位継承権(100頁)
王家では、直系の長女が王位継承権を持っており、ファラオになろうとする男性は、王位継承権を持つ王女と結婚しなければならなかった。
●教育(114頁)
現代の学校教育では、｢創造力を育てる｣｢個性を伸ばす｣といったことが重視されるが、もともと学校は基本的に｢知識｣を教えるところで、それらをベースとしないと創造力などは育てられない。
●自然に合わせて(141頁)
自然を人間の手で何とかしようとしたのではなく、人間の方が自然に合わせていった。
増水の時期に水位が上昇すれば、その水が及ばないところに居住区を造り、一年を増水期(アケト季)、播種機(ペレト季)、収穫期(シェムウ季)に分けて自然の流れに身を任せるように生活していたのである。
●死に方(162頁)
古代エジプトでは、死は｢いい死に方｣と｢悪い死に方｣にきちんと分けられていた。
悪い死に方とは、自殺、事故、あるいは病気によって命が絶たれることを意味した。逆にいい死に方は、年齢を重ねて死ぬべき時に死ねた場合、つまり、老衰である。
●平等(182頁)
一神教の協議も、元をたどれば古代エジプト時代の教えに行き当たる。そもそも平等という考え方は、一神教の宗教の中にあっても、本来は多神教の古代エジプト同様、生きている間に悪いことをしなければ、死んで再生復活できる権利を保障したものだった。誰でも等しく再生復活できるという教えだったのである。

☆関連図書(既読)
「ピラミッドの謎」吉村作治著、講談社現代新書、1979.11.20
「クレオパトラの謎」吉村作治著、講談社現代新書、1983.02.20
「ツタンカーメンの謎」吉村作治著、講談社現代新書、1984.10.20
「ピラミッドは語る」吉村作治著、岩波ジュニア新書、1985.10.21
「古代エジプト文明の謎」吉村作治著、光文社文庫、1987.08.20
「ピラミッド・新たなる謎」吉村作治著、光文社文庫、1992.04.20
「エジプト史を掘る」吉村作治著、小学館ライブラリー、1992.06.20
「貴族の墓のミイラたち」吉村作治著、平凡社ライブラリー、1998.12.15
「四大文明 エジプト」吉村作治・後藤健編著、日本放送出版協会、2000.07.10
(2015年6月4日・記)
（「MARC」データベースより）amazon
本当の豊かさとは何か。人はどう生き、どう死ぬか。エジプト調査の第一人者が、古代エジプトの生活・思想・文化を振り返り、三千年の繁栄を支えた、現代に生かしたい古代エジプト人の「生きる知恵」を再発見。