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決済システムと銀行・中央銀行
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 日本経済評論社 |
発売年月日 | 2002/04/30 |
JAN | 9784818814165 |
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決済システムと銀行・中央銀行
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全国銀行協会に長年勤めて、その後に大学へ転じた筆者による論文集。内生貨幣供給論者の立場から、電子マネー、ナロウバンク、オーバーローン問題などを論じている。内生的貨幣供給論とは以下のようなものである。 ① 信用創造 現代の銀行は、自らの債務である預金口座に記帳することで貸付を行う...
全国銀行協会に長年勤めて、その後に大学へ転じた筆者による論文集。内生貨幣供給論者の立場から、電子マネー、ナロウバンク、オーバーローン問題などを論じている。内生的貨幣供給論とは以下のようなものである。 ① 信用創造 現代の銀行は、自らの債務である預金口座に記帳することで貸付を行う。貸出は借り手の口座への記帳によって行われるので、貸出に先行して預金を集める必要がない。また、市中銀行は中央銀行が供給するベースマネーの貸出を行っていない。通常のマクロ経済学の教科書が説明しているベースマネーの投入から始まる信用創造論とは順序が逆である。最初にベースマネーがあるのではなく、ベースマネーは事後的に必要となるのが現実だ。また、銀行の信用創造が行われるためには借入需要がなければならない。借入需要に対して信用創造すなわち貸出により預金を創出することが、世の中のカネの総量であるマネーサプライ増加となる。 ② 銀行預金の流出と還流、そして預金獲得競争 銀行の貸出によって創出した預金(預金通貨)は、借り手によって支払われることによって、当該銀行から流出する。それと同時に全他行に対して準備金を失うことになるが、同じことは他行でも同様である。各銀行は全銀行が創出した銀行預金を自らのもとに還流させるべく、預金獲得競争に勤しんでいる。ここでは、預金というのは、事前に必要なのではなく、事後的に必要となるものである。貸出によって創出された預金は借り手の支払いで流出し、当該銀行は準備を失うが、資金の流れを追い、あるいは他行の創出した預金を取り込むことで、預金と準備の回復をはかる努力をするのが銀行行動の基本である。 ③ 中央銀行による信用創造 銀行システム全体としての準備金の流出は中央銀行によって補填されなければならないが、それは中央銀行による信用創造(中央銀行預金の創出)によってなされるのである。ここで注意しなければならないのは、マクロ経済学の教科書に描かれているような、各々の銀行が創出した預金の一部を一々取り崩して中央銀行当座預金に「積み建てている」わけではない。そうではなく、市中銀行の中央銀行当座預金は中央銀行が独占的に供給しているのが現在の金融システムである。 本書では、内生的貨幣供給論というレンズからみた電子マネー、ナロウバンク論、インフレ・ターゲットの是非、オーバーローン問題などが論じられている。個人的に一番面白かったのは、60年代から70年代にかけての日本の高度経済成長期に盛んに論じられたオーバーローン問題を扱った第六章の「オーバーローン論再考」である。「貸出に本源的預金は必要としない。貸出金と預金が同時に増えるのに、なぜオーバーローン(貸出し過ぎ)による預貸率の不均衡なんかが問題にされたのだ?」と思われるだろう。この章では、当時の金融制度調査会の答申、日銀の代表的論客だった鈴木淑夫の論説などの再検討を通してそれに対する解答が書かれている。当時のオーバーローン論が日銀による成長貨幣問題と個々の都市銀行に対する道徳的な「ビヘイビア」批判が混在したものだと解ると思う。 収録されている論文は80年代に書かれたものから2000年代に書かれたものと幅広く収録されている。論文の内容に重複が見られるために少し見通しが悪いのが本書の欠点である。一冊にまとめるときに論文を再構成して項目別にして欲しかったが、故人に言ってもそれは仕方ないか。内生的貨幣供給論の名著としてよく名前が上げられるのは納得の出来なので、興味があるのなら是非とも読んでもらいたい一冊である。
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