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ゼルプの裁き SHOGAKUKAN MYSTERY
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 小学館/ |
発売年月日 | 2002/05/27 |
JAN | 9784093563314 |
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ゼルプの裁き
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商品レビュー
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ベストセラー『朗読者』の著者のシュリンクの第一作。 本作は、知人のヴァルター・ポップとの共著。 シュリンク作品を読むのは『朗読者』『逃げてゆく愛』に続いて三作目。 『朗読者』の圧倒的な読み手を書き手のペースに巻き込み夢中にさせる散文の魔力のようなものは、本書ではあまり感じな...
ベストセラー『朗読者』の著者のシュリンクの第一作。 本作は、知人のヴァルター・ポップとの共著。 シュリンク作品を読むのは『朗読者』『逃げてゆく愛』に続いて三作目。 『朗読者』の圧倒的な読み手を書き手のペースに巻き込み夢中にさせる散文の魔力のようなものは、本書ではあまり感じなかった。 粛々と読み進むというのか静かなtasteの探偵小説という印象。 主人公のゼルプは68歳の私立探偵。 前職歴は戦前のナチの政権下の検事で、過去の罪の意識を持ち続けて生きている。 妻は亡くなったが、妻の兄であるコルテンとは高校時代からの同級生であり親友である。 コルテンは従業員数10万人のライン化学工場の会長。 その彼からある日、コンピュータシステムに侵入したハッカーを割り出して欲しいとコルテンから依頼を受けたゼルプは犯人探しに乗り出すが・・・・ 様々な事件が起こりながら物語は確信に近づいていくが、コルテンとゼルプの役割をゼルプが正しく認識したとき・・ ゼルプの検事時代の暗い過去を自ら自己総括するような結末には、読者はあまり大きく驚きはしないでしょう。 シュリンクの作品にはドイツという街や歴史が色濃い。 シュリンク作品は『朗読者』から入ってしまったので、どうしても『朗読者』のイメージが付き纏う。 ゼルプ三作品シリーズというのは、探偵小説なのでエンターテインメントとして分類してもいいのかもしれないが、『朗読者』とは毛色の違う作品であることは確かなようだ。 しかし、繋がっているのは、ナチ政権下での暗い過去との対峙だと思う。
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「悪用のされ方に、ましか、ましでないかという区別はない」 かつてナチ政権下でその検事として働き、今初老を迎え私立探偵となっているゼルプは、親友であり義兄でもあるライン化学工業の会長・コルテンから会社のコンピュータシステムに入り込んだハッカーの犯人探しを依頼される。彼は事件を追う...
「悪用のされ方に、ましか、ましでないかという区別はない」 かつてナチ政権下でその検事として働き、今初老を迎え私立探偵となっているゼルプは、親友であり義兄でもあるライン化学工業の会長・コルテンから会社のコンピュータシステムに入り込んだハッカーの犯人探しを依頼される。彼は事件を追ううちに、その真相が自身の過去と無縁でないことを知ることになった。 ライン化工のシステムを翻弄したハッカーは物語の前半で判明します。それはあくまでもドラマの序章に過ぎません。ゼルプの本当の闘いはそこから始まるのであり、ナチ政権の司法関係者であった結果として確信犯的に犯すことになった罪を自分の中でどう消化するのか、あるいはしないのか― 「朗読者」で著者が斬り込んだテーマが、舞台と役者を変えてここで再び投げかけられることになります。 妻を亡くして以来、唯一の癒しは愛猫ターボという独り暮し。その暮らしぶりや友人との応酬には、ゼルプという人のおよそ他人を疑うことをしない真面目な人の好さが垣間見えます。そんなゼルプがナチの独裁政権という今から見れば異常な支配体制の中で、知らず知らずのうちに自分が過ちに加担していたという事実を省みるとき、そうした過去とどう折り合いをつけるかという苦悩が頭をもたげてくるのです。 〈私の奉職中には偉大だと思って実行していたことの罪を、自分が背負うことになったのか、それともチェス盤上ならばおろかな歩、私の場合は一将校として、何もわからずに汚らわしい小さな陰謀に利用されたのか、この二つのことを同じものとは見なしたくなかった。〉 苦悩の果てにその贖罪は同じ状況下においてむしろ積極的に策を弄し現在の冨と名声を手に入れたコルテンに向けられていったのかもしれません。ゼルプ本人が「悪用のされ方に、ましか、ましでないかという区別はないのではないか」と言っているのにもかかわらずです。ゼルプをしてその答えはついに得られなかったのです。
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「朗読者」で世界的ヒットを飛ばしたシュリンクのミステリ。 共著ですが、ドイツのミステリとしても画期的な作品だったようです。 主人公ゼルプは、若い頃にはナチス党員で、検事となったがまもなく敗戦、公職追放に。 多くの同僚が後に復職したが、戦後に初めて知った事実から、復職を潔しとしない...
「朗読者」で世界的ヒットを飛ばしたシュリンクのミステリ。 共著ですが、ドイツのミステリとしても画期的な作品だったようです。 主人公ゼルプは、若い頃にはナチス党員で、検事となったがまもなく敗戦、公職追放に。 多くの同僚が後に復職したが、戦後に初めて知った事実から、復職を潔しとしない人でした。 今では68歳になり、妻を亡くし、たまにリウマチで苦労しつつ、かなり元気で女性とも付き合い、ドライブや美食と生きることを楽しんでいました。 ライン加工という大会社の社長のコルテンから、ある調査を依頼されます。 ゼルプとは幼なじみで、後に結婚したクラーラの兄でもあったコルテン。カリスマ性のある人物。 妻の死後は疎遠になっていましたが… テンポ良く展開し、秘書のさっそうとした知的な美女や、セクシーな中年女性も登場。 捜査線上に浮かんだ若い男が、交通事故死。不審に思ったゼルプはいきさつを調査し… 自らの過去とも関わる秘密に分け入っていくことに。 見慣れない人名、地名、組織名が多いので、まるで別世界の話のようですが、ミステリとしても骨格はしっかりしています。 重厚な芯があり、読み応えがあるエンタテインメント。
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