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美的経験の現象学を超えて 現象学的美学の諸相と展開
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 晃洋書房/ |
発売年月日 | 2001/02/20 |
JAN | 9784771012523 |
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美的経験の現象学を超えて
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R・オーデブレヒト、M・ガイガーの現象学的美学思想を読み解くとともに、K・フィードラーの芸術学を現象学的美学の観点から見なおそうとする試み。 オーデブレヒトは、美的対象は論理的・概念的対象とは異なり、フッサールの志向性分析によっては十全に把握できないと考えた。だが、彼は他方で、...
R・オーデブレヒト、M・ガイガーの現象学的美学思想を読み解くとともに、K・フィードラーの芸術学を現象学的美学の観点から見なおそうとする試み。 オーデブレヒトは、美的対象は論理的・概念的対象とは異なり、フッサールの志向性分析によっては十全に把握できないと考えた。だが、彼は他方で、フッサールの「構成」概念を「創造」と捉えなおすことで、芸術家がみずからの「人格性」を芸術作品において開示する際の美的価値体験を分析する手がかりを獲得している。彼がめざしたのは、芸術的創作は「情動」という超越論的主観性の領野において、「人格性」という核から生じる「気分」を「構成」=「創造」する働きを分析することだった。 こうしたオーデブレヒトの美学思想は、しばしば独我論との批判を受けている。だが著者は、オーデブレヒトが、「気分体験」という超越論的主観性の働きと相即して、「感情」を通じて「芸術材料」からの受容性の働きが存在することをすくい取ろうとしていたと指摘する。ここに著者は、いわば受動的経験の美的現象学ともいうべき構想の萌芽を見ようとしており、これによってオーデブレヒトは独我論という批判をかわすことができると主張している。 オーデブレヒトが中期フッサールに依拠したのに対して、ガイガーは初期フッサールの影響の下で思索を展開した。彼は、「美学とは美的価値の学である」と述べ、価値を主観的な作用に還元する心理学主義的な作用美学を批判して、美的価値の客観性を擁護する。だが彼の立場は、オーデブレヒトから見れば、エポケーに相当する「美的に中性」の立場にとどまっており、情動的=超越論的主観性による「構成」の作用の分析にまでは到達していないと批判されることになるだろう。 さらに著者は、純粋な可視性に基づく「芸術学」を提唱したフィードラーの思想を、感性として規定された創造的精神の力動性に基づく「内在の形而上学」とみなすことで、現象学的美学との「近さ」を見いだす。その一方で、フィードラーの「芸術学」は主観の快の感情に基づいて美を判定する従来の「美学」に対する鋭い批判を含んでおり、単なる主観性による構成ではなく「可視性」それ自身の発展を主題としていた。これは、私たちが芸術的創作へと「連れ去られる」体験の分析になっており、この点でフィードラーの芸術学は、現象学よりもむしろハイデガーの思想に近いと著者は主張する。
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