ジプシー シンティ・ロマの抑圧の軌跡

小川悟(著者)

• 販売会社／発売会社: 関西大学出版部/
• 発売年月日: 2001/02/26
• JAN: 9784873543208

商品レビュー

2010/11/09

ヨーロッパではジプシーはエジプト出身だと思いこまれていた。実際はインド北部。
ルーマニアでは、金はユダヤ人が持っていった、仕事はルーマニア人が持っていった、ロマに残っているのは嘲りと嘲笑だけだ、という小話がある。
ルーマニアでは混血結婚に対する不安が住民の中に蔓延する。この不安は、実際は混血結婚に対する迫害への不安であっただろう。
第二次大戦中の東欧におけるロマに対する迫害は、すでに歴史的に継続していたのであるが、ナチスがロマに対する迫害をシステム化したと言える。ロマやユダヤ人に対する迫害のシステムは、ナチスの人種イデオロギーを具体化したもので、東欧においても容易に受け入れられた。
ロマの同族意識は極めて強いことから、彼らのこの意識を断ち切ることで強力なむしろ暴力的な同化政策を推進しようとした。
ユダヤ人とチゴイナーはドイツ民族にとって危険であるとされた。チゴイナーはすでに500年にわたって、ドイツに住んでいたし、ユダヤ人はそれ以上の歴史を形成していた。
ウィーンでは1939年に全小学校からシンティとロマの子供を締め出す決定をした。
ナチスドイツ時代のロマの迫害はあまりにも有名。