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薔薇、見知らぬ国
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薔薇、見知らぬ国

山崎佳代子(著者)

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薔薇、見知らぬ国

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 書肆山田/
発売年月日 2001/08/10
JAN 9784879955180

薔薇、見知らぬ国

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2018/04/02

昨日の読書会で、課題図書としてダニロ・キシュ「若き日の哀しみ」を取り上げました。 その訳者が翻訳家で詩人でもある山崎佳代子さん。 読書会の出席者の一人が、山崎さんの詩集「薔薇、見知らぬ国」を貸してくれました。 早速読みました。 普段、詩をあまり読まないので、読解力はありません。 ...

昨日の読書会で、課題図書としてダニロ・キシュ「若き日の哀しみ」を取り上げました。 その訳者が翻訳家で詩人でもある山崎佳代子さん。 読書会の出席者の一人が、山崎さんの詩集「薔薇、見知らぬ国」を貸してくれました。 早速読みました。 普段、詩をあまり読まないので、読解力はありません。 読解力がないくらいですから、感想を書くのはさらに難しい。 それでも、いくつかの詩が心に残りました。 たとえば、「植物について」という詩。 花の名前を教えてほしいという懇願と、カッコに括られた情景説明が繰り返されます。 この情景説明で、この詩が異常な状況の下に書かれたことが分かります。 何度も胸が衝かれる思いがしました。 せっかくなので、ご紹介しましょう。 □□□ 教えてください、花の名前を 象の眼より寂しい三日月の晩 鎌に刈り取られ捨てられた 花の名前を (町へ続く道の封鎖が解かれると 男たちはやってきた……) 教えてください、野の花の名前を 少女に摘まれ少年に折られるまえに 堅い靴底に踏みにじられた 花の名前を (先頭の男が白衣を着ていたから 村人は彼らを通した) つましい食卓をかざろうと 百姓女がタンポポの葉を摘んだ野原に ガソリンが撒かれ火は放たれ 野草は一度に燃えた (男は逃げまどう老婆の 背中を狙って撃った) 思い出してください せめて花の香り、その色を 植物採集していた村の教師が 標本を作り終えた次の日 (ナイフで刺されると知ると 母は赤子を抱きしめ川に身を投げた) 西の製薬工場から男たちが送りこまれ 花の冠を盗まれた少女や 草笛を奪われた少年の身体を メカニカルに片付けていく (散水車が路面に洗剤を撒いていく、 北の町から集められた清掃夫が) 川を花びらが流れていく 台所から百姓女が追い立てられ 図書室から教師が追い出された 教えてください、思い出してください (アスファルトの血糊を デッキブラシで洗っていく) 教えてください、 花の名前を 人影の消えた野原で 私は伝書鳩を待っている 灰色の鳥が 少年と少女、草花、教師や村の女、 村の名前を記した手紙をたずさえ この空に現れる日を…… 思い出してください 花の香り、 月に滴る樹液の色を 教えてください、花の名前を □□□ 本書に収録されている一連の作品は、1994年春から99年夏にかけて、ベオグラードで書かれました。 「黒い国」「花摘み」「階段、ふたりの天使―ステファンとダナヤへ」が気に入りました。 何度も繰り返し読んで、美しい言葉と言葉の連なりを、心の奥に深くに取り込みたいと思います。

Posted by ブクログ

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