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ゆめみるトランク 北の町のかばん屋さんの話 子どもの文学傑作選
定価 ¥1,430
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 講談社 |
発売年月日 | 2001/05/20 |
JAN | 9784062611718 |
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ゆめみるトランク
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ゆめみるトランク
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商品レビュー
4.5
2件のお客様レビュー
私がいつも行っている図書館は、時折すごいものが眠っており、一見、地味に感じられる物語の内容も、今の時代の物理的にも精神的にも満たされない世の中において、素朴ながらも決して消えることのない、とても清らかで温かい輝きを放つ作品です(1991年作)。 北の町はずれにある、小さなかばん...
私がいつも行っている図書館は、時折すごいものが眠っており、一見、地味に感じられる物語の内容も、今の時代の物理的にも精神的にも満たされない世の中において、素朴ながらも決して消えることのない、とても清らかで温かい輝きを放つ作品です(1991年作)。 北の町はずれにある、小さなかばん屋さんを経営する、三代目主人「上原一郎」は、若いながらも立派な腕をもっているが、売るのが下手な上に、おまけに性格が、のんきときたもんで、ショーウィンドーのかばんには、すっかり埃がかぶっている始末。 そんないつもの感じで、のんびりとかばんを縫っていたある日、突然古いトランクが、ぱくっと口をあけて、大きな声をあげたから、もうびっくり。 「かばんはかばんらしいくらしがしたいよ」 そう、かばんにとっては、やはり誰かに使って欲しいんだね。物をいっぱい入れて色々な場所に運んでいく時には、外の景色も堪能できるし空気も美味しいでしょう。でも、今の売れないままだと、それすら叶わなそうなので、トランクが一郎さんの為に、素敵なアイデアを考えます。 仕事の成果を上げるためには、まずは仕事場の雰囲気を心地好くすることを実践すべく、外は雪でも、窓いっぱいに飾られた黄色い水仙の花の匂いに、ストーブの上のやかんの音が応えて、そしてお茶の時間には、薫りのよいお茶に、やきたてのあつあつで、しっぽまであんこがいっぱいの、たいやき! これだけあれば、もう一郎さんは、しあわせな気持ちになり、それが仕事にも影響して、ミシンのカタカタたてる音まで楽しそうに感じられます。 その心地好さの大切さというのを、おそらく私の中で少し軽く考えていたのかもしれない。そんなことを本書を読んでとても痛感し、それらの光景、匂い、音、味などが、私たちの五感に自然と訴えかける、「ああ、なんかいい感じだなぁ」といった、心が満足感を覚える感じ。そんな素晴らしさを、改めて私に教えてくれました。 そんな五感に訴える感じは、ゆき子さんとの、仕事場のものほし台でのシーンも印象深く、あたりはワインレッドの夕暮れの中、いくつかの鉢植えからは夏のバラの香りが漂い、遠い町には、ぽつりぽつりと水色の灯がともり、夕暮れの空にも水色の星がひとつ見え、そこに一郎さんが持ってきた椅子に座るゆき子さんと、手すりにつかまって空を見る一郎さんとが交わす話は、そのアイデアの内容も相まって、とてもロマンチックです。 そして、元々、一郎さんの仕事の腕が確かな事も加わり、出来上がるかばん、それぞれが実用的で素敵なものばかりで、花のつぼみのようなポシェットに、夜空のハンドバッグ、そして、はりねずみでも上手く背負えるランドセルと、どれもこれも、思わず欲しくなるものばかり! しかし、その成果の根拠は、楽しい雰囲気作りだけではなく、それを知った一郎さんが、その気持ちを他の人にもお裾分けしたい、そんな思いが滲んだ彼の信条は、『どんな仕事でも、丁寧に、親切にやること』で、そこには普段忙しさに追われて、つい忘れてしまいがちな、仕事は自分だけの為にやっているわけではないことを、教えてくれました。 また、そんな一郎さんに惹き付けられるように、ゆき子さん、ねこ、ハリネズミと、温かいキャラクター達も印象的ですが、その中でもトランクは、一郎さんの中では傑作中の傑作である上に、タイトルにも偽りは無く、彼の考えた様々なアイデアと、一緒に素敵な夢を見させてくれるような、彼の内に潜むその思いと優しさには、彼自身の生い立ちも含め、とても心動かされるものがありました。
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安房直子さんの作品は、やさしさがいっぱい詰まってて大好きです。 児童書なんだけど、ファンタジーとしてしっかりしたお話になっています。 これはかばん好きな私がすごく好きなかばん屋さんの話。 作中の、夜空のハンドバックがすごく欲しくて、作ろうかと思ってます(笑)
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