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まるまる一冊マルセ太郎
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まるまる一冊マルセ太郎

マルセ太郎(著者), 山田洋次(著者), 矢野誠一(著者), 永六輔(著者)

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まるまる一冊マルセ太郎

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 早川書房/
発売年月日 2001/06/15
JAN 9784152083548

まるまる一冊マルセ太郎

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2015/11/08

この本はマルセ太郎の2001年1月の永眠後に発表され、彼自身の文章のみではなく正確には彼の著書ではないのだが、それにしても、冒頭の彼自身のペンから成る短文数編を読めるだけでも、この本の価値はある。   事実、「コメディアン」や彼の心に強く残った映画に関しての1編3ページの論評は、...

この本はマルセ太郎の2001年1月の永眠後に発表され、彼自身の文章のみではなく正確には彼の著書ではないのだが、それにしても、冒頭の彼自身のペンから成る短文数編を読めるだけでも、この本の価値はある。   事実、「コメディアン」や彼の心に強く残った映画に関しての1編3ページの論評は、私の心に強い印象を残した。なぜなら、彼は大阪の高校を出てすぐに舞台俳優を目指すべく上京しており、いわゆる“学歴”は高卒のはず。しかし彼の短文は、マルセ太郎独特の視点と論理、そしてマルセ流の愛情すら感じられて、学者や大家の評論と比べ、完成度が劣ることが一切ない。彼が大学とかで文章の書き方をきちんと学んだということはないにもかかわらず。 それはつまり、彼の人生遍歴や在日韓国人としての彼の出生、家族、そして彼を取り巻く人間が総体となって彼の文章力・表現力の研鑽に力を与え、成果を生みだしたということなのだろう。と言うことは、文章力を身につけるのは、学歴なんて実は無意味で、「自分の人生を貫ぬく一本の筋をいかにして見出すか」の力を磨くことだと改めて感じた。 私が最もマルセさんらしいと思う一節を引用すると- 『僕はサルの演技を得意にしている。サルが示す様々のポーズや動きの中で、何がサルの典型と考えるか。僕は観客に背を見せたままでひょいと椅子に跳び乗り、後ろをふり向くのである。そこで観客はドッと笑う。それが最もサルらしい表現だと、観客の潜在意識にあるのだ。…よくやりそうな、のみを取ったり、お尻をかいたりの類型的演技では、観客は決して笑わない。…典型を見つけるためには、その対象をよく知らなくてはいけない。より知ろうとする行為が愛である。それがコメディアンの資質である。現状は、愛のない「笑い」が多すぎやしないか。』 言葉を誰よりも大切にし、笑いを誰よりも真剣に考えたマルセさんは、師匠につかなくても、大学で演劇を学ばなくても、力のある「芸」を形作ることができるということを彼の芝居のみならず、この本でも実証してくれた。天才と呼ぶと本人は全力で否定するだろうが、マルセを知る人で彼を天才と呼ぶことに異議を唱えるより「激しく同意」するほうが圧倒的に多いはずだ。 私はスクリーンのない映画館の「生きる」を舞台で、「泥の河」をテレビで見た。たったそれだけ。もっと見たかったと悔いが残っている。 (2015/4/12)

Posted by ブクログ

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