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異人館(下) 講談社文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 講談社/ |
発売年月日 | 2001/02/15 |
JAN | 9784062730860 |
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商品レビュー
4
2件のお客様レビュー
林大元
後書きによれば、平成7年7月11日~平成8年8月31日まで、朝日新聞に連載された作品とのこと。 主人公グラバーを描くことから当時の日本を描くことに比重が移っていき、少々出来事の羅列が多くなっていく印象。 けれど、林大元の突き放した言葉は見事で、なるほどなあと思った。
長束
異人館 昨年12月に長崎に旅行した際、グラバー邸に感銘を受け、トーマス・グラバーがどのような生涯を送って来たか興味を持ったため、読んだ。齢21にして(今の自分と同い年)遠くイギリスから中国、そして日本へと渡り、商人として茶葉の販売や、最終的には薩長への武器輸出を行ったグラバーは...
異人館 昨年12月に長崎に旅行した際、グラバー邸に感銘を受け、トーマス・グラバーがどのような生涯を送って来たか興味を持ったため、読んだ。齢21にして(今の自分と同い年)遠くイギリスから中国、そして日本へと渡り、商人として茶葉の販売や、最終的には薩長への武器輸出を行ったグラバーは、読めば読むほどそのすごさが身に染みてくる。商人は時代の潮目を読んで、事業を拡大するか否かを考えると言われるが、この激動の時代に、幕府か薩長か、そのいずれかを選択し、武器等を輸出したグラバーが、明治維新の陰の立役者と言われるのは理解できる。印象に残っているのは、グラバーの生きた機械の話、近代化を推進したいと願う当時の若者たち(五代友厚、岩崎弥太郎、伊藤博文等々豪華なマンバー)が、機械を輸入してくれれば自分たちはコピーできると言い張りグラバーに発注していたのに対して、グラバーは逆に若者を積極的に海外に留学させ、西洋文明の強大さに触れてこいと積極的に押し出していく。そうして海外に出ていった元攘夷派の若者たちは、開明派へと転じ、いわずもがな明治維新の原動力となる。まさしく、生きた機械となって日本帰り、世の中を回していったのであった。最後のシーンではグラバーは政治に没入しすぎであると周囲に言われ、なかば押し切られる形で故郷に帰らされる。奇しくもグラバーが洋上もしくは故郷の家にいるときに、明治維新は遂行され、日本は生まれ変わるのである。自分が長崎のグラバー邸の二回テラスから、長崎港を眺めた時の、あのなんともいえない浪漫を、言語化出来た上に、新たな知見を得られたのは大きな収穫であった。
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