- 中古
- 書籍
- 書籍
- 1221-07-01
オーデュボンの祈り 新潮ミステリー倶楽部
4,840円
獲得ポイント44P
在庫なし
発送時期 1~5日以内に発送
商品詳細
| 内容紹介 | |
|---|---|
| 販売会社/発売会社 | 新潮社 |
| 発売年月日 | 2000/12/20 |
| JAN | 9784106027673 |
- 書籍
- 書籍
オーデュボンの祈り
商品が入荷した店舗:0店
店頭で購入可能な商品の入荷情報となります
ご来店の際には売り切れの場合もございます
オンラインストア上の価格と店頭価格は異なります
お電話やお問い合わせフォームでの在庫確認、お客様宅への発送やお取り置き・お取り寄せは行っておりません
オーデュボンの祈り
¥4,840
在庫なし
商品レビュー
3.7
179件のお客様レビュー
おすすめ!
小説という「文字の羅列」が与える楽しみが、凝縮している。閉ざされた島の奇妙な住民、予知能力を持った喋るカカシ。シチュエーションもキャラクターも申し分ない。散りばめられた伏線が収束する快楽がたまらない。
abtm
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
☆4.6 ミステリとしては状況証拠と推測を重ねてたどり着いたようなものでかなり軽め(というか薄め)の印象。そもそも色んな人に慕われていたが自分では動けないカカシである、ということを考えると『なぜ自分の死を予測して避けなかったのか?』という問いから『人に実行を頼んでの自死』は導きやすいと思う。それが田中だとは思わなかったが、種明かしそのものに驚きはなかった。 巻末にある選評にて文章の粗さが目立つと評されているのに同意で、特に地の文から滑らかにセリフに繋がって地の文で結ばずに終わる点が個人的には投げっぱなしのように感じられてモヤモヤして好きではない。推敲が少ない印象、というのも同意。 また、同じく選評の中で萩島のリアル感の欠如が書ききれていない、というような評を受けていたがあれは逆だと思う。現実であるはずの静香と城山のパート(正確には城山という人物)があまりにも現実離れしていたのだ。城山が超危険人物過ぎてリアルな犯罪者感に欠ける。暴力の描写も城山の思考も猟奇的で特異過ぎる。 だから現実であるはずの静香と城山パートがリアル感の欠如した萩島の浮遊感に近付いてしまい、静香と城山が萩島に来る時に現実とお伽噺が融合してしまうようなゾワゾワを感じられなかった。 城山の描写は最小限にして静香の人となりや日常にページを割くべきではないかと思う。伊藤を現実に繋ぎ留めるピンのような役割として、そして萩島に欠けたものをもたらす人物として静香はもっと描いてほしかった。 しかしそれらを差し引いても面白かった。私は萩島が好きだった。 日比野のあの絶妙な人格の歪みも最初は厄介に感じたが、愛おしく思える程度の人間の面倒くささに上手く収まっていた。桜の人物像はあまりにも漫画的で主人公である伊藤と親しくなるのも漫画だな〜と感じたが、伝承通りに欠けたものを持ってくる『主人公』の特権か、と納得も出来る。 嘘しか言わない元画家、死にゆく人の手を握る仕事、地面の音を聞く少女、自分の店から動けないまま暮らす女と通い妻ならぬ通い夫、デートの演出作戦、石のブロックを拾うさりげないワンシーン、静香が持ち込むサックスなど挙げればキリがないが細々とした仕掛けがそれぞれ繋がっていくのが、あぁ伊坂幸太郎読んでるな〜〜としみじみ思う。楽しい。都合良くパズルがハマるのを優午という未来予知の出来るカカシのせい、にギュッとまとめたのはズルいけど上手い。 画家の園山が好きだった。どこか遠くで自死を選んだのかもしれないが、理不尽で過激な暴力に晒された妻に出来る限りを尽くしたのならそれでもいいんだろうと思う。 優午がオーデュボンであるなら、この萩島が何かを欠けさせたまま枯れて絶滅してしまわないように、曽根川や城山のような侵入者に狩られてしまわないように(この点で言うと桜と優午はある種似た存在なのだと思う。人間に価値はないという覆せない諦観も含めて)、自分の存在を賭けてでも最後のピースのような音楽を持ち込ませたのかなと考えた。 長かったがもう一度読んでもいいなぁと思える作品だった。完成度というやつは低いだろうが、愛着の湧く一作。
Posted by 
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
伊坂幸太郎を読むのは2作品目。 ほぼ全ての文が短文かつ過去形だから淡々としている。その割には情景描写が詩的であったり感傷的であったりする。不思議な文体だなぁ。 前半はかなりだらだらと続く。無意味そうな流れも多く、あと城山の描写が……リアルそうででも実際は居なさそう。嫌な奴への解像度が高いんだか低いんだか……。 でもその分後半の巻き返しが気持ちよかった!パズルのピースがちゃんとハマっていく感覚。城山があっさり桜に撃たれて(予想はしてたというよりそのための桜だろうとは思ってたけど)ガッツポーズした。伊坂幸太郎は嫌な奴がちゃんと痛い目見てて有難い。読後感が良い。 園山さんの最後がどうなったかはわからないのがちょっと寂しくもあり、それで良かったのかもなぁと。多くは語られない方がいいこともあるね。 そして最後の最後に優午の昔で締めるのが、なんだか長い映画を一本観終わったかのように心に染みました。 伊坂幸太郎、途中はちょっとしんどくても読後感が良すぎて癖になるかもしれない……。ううん……でもメンタルが落ち込んでる時に読めるタイプじゃない。たぶんまた他のも読んじゃうんだろうな。面白かったです。
Posted by 
