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失踪者 カフカ小説全集1
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 白水社/ |
発売年月日 | 2000/11/25 |
JAN | 9784560047019 |
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商品レビュー
3
3件のお客様レビュー
カールという青年がアメリカに来て、ホテルのボーイになったりいろいろするのだが、結局なんなのという感じだった・・・ なぜこれをカフカの小説で最初に読んでしまったのか・・・。そのせいでカフカは私の中で「意味わからん人」になってしまった。
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カフカの小説の中でも後回しにしていた本作。カフカのいずれも未完成に終わった一連の長編の中で一貫して扱おうとしていたものと同じテーマが随所に現れている。 主観と現実のズレ、次第に見えてくる目標、目前の困難と格闘するうちにいつの間にか遠のいている本来の目的。見えているのに決してたど...
カフカの小説の中でも後回しにしていた本作。カフカのいずれも未完成に終わった一連の長編の中で一貫して扱おうとしていたものと同じテーマが随所に現れている。 主観と現実のズレ、次第に見えてくる目標、目前の困難と格闘するうちにいつの間にか遠のいている本来の目的。見えているのに決してたどり着けないところ、実際の努力が結果に結びつくのかわからないもどかしさ。そこまでは現実の私たちが常に抱えていかなければならない生きて行くことの苦しさである。しかしカフカはその一歩先へ行っていると思う。それが何か、読者はそれぞれ見いだしていかなければならないし、見いだすことができる。そういうところに惹かれるのだろうと思う。 失踪者(アメリカ)は審判とは異なり、城と同様結末がないけれど、断片として新たな旅立ちが語られる。カールは通り一遍の幸せとは縁遠いだろうけども、審判のように運命が決まってしまってはいない。それはカフカが決められなかったからなのであって、この違いは偶然ではない。幸せになるところが想像できなかったというよりも不幸になるところが思いつかなかったということではないだろうか。あるいはそういう尺度を物語に持ち込むこと自体がつまらないということか。
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カフカを読むと、目の前にそそり立つ灰色の壁を見上げているような思いに駆られる。不条理とも、絶望とも、悲壮とも、それは解釈可能であるのだが、いずれにしても、その壁の向こう側に行くことは、とてもできない定めのような気がして、苦しくなる。若い頃には、その灰色の壁の冷徹さがクールであるよ...
カフカを読むと、目の前にそそり立つ灰色の壁を見上げているような思いに駆られる。不条理とも、絶望とも、悲壮とも、それは解釈可能であるのだが、いずれにしても、その壁の向こう側に行くことは、とてもできない定めのような気がして、苦しくなる。若い頃には、その灰色の壁の冷徹さがクールであるようにすら感じたけれども、今は、むしろ冷たさがすしりと重く沁み入るようだ。つまり、いつの間にか、その年代が共通して抱く批判の対象であった年代に自分がなっており、矛先を自分自身にも向けていることを意識せざるを得ないということなのだろう。 「失踪者」に限ったことではないと思うけれど、カフカの描く世界は、読む者の手を容易にするりと逃げていくような印象がある。それは、例えば、隅から隅まできちんと計算され、点と点が輻輳するようにエピソードが流れている話、いわゆるエンターテイメント系の小説、から感じるものとは全く異なる印象だ。一つのエピソードが別のエピソードへやっとのことで繋がっていくのを眺めているかのよう、といってもよい。その「辛うじてある繋がり」が、非現実的なエピソードの中にある人生の必然性のようなものを示唆しているような気がしてならない。 「断片」として残された文章を読むと、カフカが書くことを「無から何かを絞り出す」ような行為として行っていたのか、という感慨が立ちあがる。そうして絞り出された断片をどう繋ぎ合わせるのか、それを苦心していたのだろうなと想像は広がる。それを都合のよい形で変形させればさせられるであろうに、一途に絞り出されたものの持つ本質を信じて繋ぎ合せようとする、そんなカフカを想像してみる。しっくりとする。 人生の断片は、例えそれが現実にあった人のものであったとしても、バラバラに取り出して並べてみた時、やはりこの「失踪者」ように、それぞれのエピソードは辛うじて繋がっているだけのように見えるのだろう。それが現実であるとカフカは見抜いていたのだろうか。繋ぎとめられた断片群には、きれいな始まりもきれいな終わりもなく、ただただひらひらと細い糸で繋ぎとめられていることだけが、ある。その両端に更に続くものがあったのかどうか、自分たちは決して知ることができないのかも知れない。
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