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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 慶應義塾大学出版会/ |
発売年月日 | 2001/01/10 |
JAN | 9784766408386 |
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商品レビュー
4.2
6件のお客様レビュー
さすが本家本元ならではの注のすばらしさ。やはり適塾時代の話がイチバンオモシロイ。「目的なしの勉強」これが本来のあるべき姿なのだろうが、若い時は中々そうもいかないのだろう。
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自伝ではありながら、福沢諭吉その本人が語るところ率直にして、その人となりがとてもよく分かる内容でした。 慶応義塾大学の創立者として自分を大きく見せる、という意図は全く感じさせるところなく、江戸末期から明治へと日本が国のあり方を大きく方針転換していく時代に、一個人として何を感じ、...
自伝ではありながら、福沢諭吉その本人が語るところ率直にして、その人となりがとてもよく分かる内容でした。 慶応義塾大学の創立者として自分を大きく見せる、という意図は全く感じさせるところなく、江戸末期から明治へと日本が国のあり方を大きく方針転換していく時代に、一個人として何を感じ、何に情熱をかけたか、その思うところを余すことなく語りつくした、という印象を受けました。 洋行してその社会をつぶさに観察する中で、西洋列強と日本が伍していくには、数理学と独立心が肝要との思いを持つに至り、福翁は慶應義塾を創始します。明治政府からその見識を見込まれて仕官の誘いを何度も受けるのですが、「一国の独立は、その国民の独立心からわいて出ることだ」という信条から、独立独歩の姿勢を貫きます。こうした態度に、福翁が自身を律するに厳しかったであろうことが覗えます。 適塾時代のエピソードに、「遊女のにせ手紙」が紹介されていますが、ここに登場する手塚という塾生は、漫画家の手塚治虫の曽祖父のことです。適塾の雰囲気が分かる面白い話でした。
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福澤諭吉の自叙伝。 慶應義塾大学が出版しているだけあって、「福翁自伝」の完成版とも言うべき、充実した注釈と解説が載っている。どうせ読むなら、本書で読むのが一番理解が深まっていいだろうと思う。 さて、福澤諭吉と言えば、長年、一万円札に肖像が使われていることでお馴染みだが、「じゃあ...
福澤諭吉の自叙伝。 慶應義塾大学が出版しているだけあって、「福翁自伝」の完成版とも言うべき、充実した注釈と解説が載っている。どうせ読むなら、本書で読むのが一番理解が深まっていいだろうと思う。 さて、福澤諭吉と言えば、長年、一万円札に肖像が使われていることでお馴染みだが、「じゃあ何の功績が認められて日本貨幣の最高額の人になっているの?」という疑問に答えられる人は、案外少ないのではないだろうか。 かくいう私も、「諭吉って、学問のすすめを書いた人で、慶応義塾の創始者で、何回か渡米したことがある人」くらいの認識しかなく、イマイチ日本における位置づけが分かっていなかったように思う。 しかし、本書を読んで「これは凄い人だ」と認識を新たにした。何が凄いって、「諭吉が理解し、翻訳した通りに、明治ひいては現代日本の制度が作られ、日本人が西洋文明(世界)を理解した」というところである。 はっきり言って、今の私達の世界(制度)の理解の仕方も、諭吉の見た世界の解釈に大きく依っているといっても過言ではないように感じた。 ほんの一例を挙げると、p.130の要約になるが、 「外国人が、原書や字引に載せないような当たり前と思っていることが一番難しい。理化学・器械学・工業製作のようなことは、その道の専門でなくても本に書いてあるのを読めば分かる。 けど、銀行の金の支出入はどうしているかとか、郵便法はどういう趣向にしているか、徴兵令とは何か、選挙法とは、議院とは何か、向こうの人が当たり前と思って本に書かず、尋ねてもただ笑っているようなことが少しも理解できなかった」 と諭吉は回顧する。当然、諭吉が分からなければ、他の日本人も分かるはずはない。しかし、このお手上げ状態から、諭吉は少しずつ、各国の人達に尋ね自分でも考える中で、理解していったのである。 そして、ただ理解するだけでなく、理解した内容を「西洋事情」などの本に記し、著書が広く読まれたことで、政府は制度を作り、人々はその制度を理解したようだ。 もう少し具体的に書いておくと、例えば、英語の辞書を初めて日本に輸入したのも諭吉(p.116)なら、西洋のポリス(警察)事情を諭吉が翻訳して、それを元に明治政府が警察を作っている(p.210)し、演説(スピーチ)を始めたのも諭吉(p.235注①)、日本最初に西洋簿記法を翻訳(p.270注①)しているし、新聞の論説を代筆して世論を国会開設の方へと誘導して一役買った(p.304)のも諭吉と、本当に業績が多岐に渡っている。 これらはほんの一部であり、ほとんど彼によって西洋の制度が導入され、現代に通じる明治政府の制度が作られたと考えて間違いないようだ。(逆に言うと、明治政府以前と以後の日本は驚くくらい全然違う。福翁自伝の前半部分を読んで貰えればわかると思う)。 それ故に、諭吉の関心のなかった部分(耶蘇教といった宗教等)は日本人に理解されず、今日に至っているのだろうと思った。もし、諭吉が信仰心に篤く、耶蘇教に興味を持って著書を出版していたなら、今頃日本人の半数くらいはキリスト教信者になっていたんじゃ?と思ってしまうくらい、多大な影響力を持っていたことが窺えた。 解説(p.323)に、「福澤の長逝後、衆議院が空前の院議による哀悼の決議をした」とあってびっくりしたが、上記のような事を思えば、むべなるかなである。 最後に、本書で圧巻なのが解説である。福翁自伝の作成法、評価、内容要約、さらに諭吉の解説と、解説のお手本のような立派な解説が載ってある。 そして、改訂毎の、校注者(現代語訳者)の後書きが書いてあり、最後、「満九十五歳の誕生日に 富田正文 記」で締めくくられていることに胸を打たれた。 一生をかけるに相応しい著書だと、私も思う。
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