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眉輪
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 展望社/ |
発売年月日 | 2000/02/12 |
JAN | 9784885460289 |
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眉輪
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商品レビュー
4.3
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古事記に登場する悲劇の幼王・眉輪王(目弱王)が起こした変とその前後を描いた物語。 美しい天上人たちが1人の俗物(というか小物)に運命を狂わされながら自分たちの愛と死を全うしようとする。 タイトルロールの眉輪王を仮に主人公とした場合、裏主人公もしくは実質主人公と言えそうな大長谷王子...
古事記に登場する悲劇の幼王・眉輪王(目弱王)が起こした変とその前後を描いた物語。 美しい天上人たちが1人の俗物(というか小物)に運命を狂わされながら自分たちの愛と死を全うしようとする。 タイトルロールの眉輪王を仮に主人公とした場合、裏主人公もしくは実質主人公と言えそうな大長谷王子と若草香王女の関係なんか特に業が深くて好きな人はきっと好き。 異説ハムレットという副題がついた章があるし、最後に大勢人が死ぬ感じはシェイクスピア悲劇っぽい。でもこれ、ストーリー自体は概ね本当に古事記に書いてある通りなんだよね。日本神話とイギリスの古典劇がリンクするの、面白いな。
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これは、歴史の勉強ではなくて、日本語の勉強のために読む本である。 著者が独文学を専攻した比較文学者ということもあってか、5世紀のヤマト王権のお話に唐突に「ベーオウルフ」だの「ヴァルキューレ」だののカタカナ語が出現するのには眉を顰めてしまう。それを差し引いても、この日本語の美しさ...
これは、歴史の勉強ではなくて、日本語の勉強のために読む本である。 著者が独文学を専攻した比較文学者ということもあってか、5世紀のヤマト王権のお話に唐突に「ベーオウルフ」だの「ヴァルキューレ」だののカタカナ語が出現するのには眉を顰めてしまう。それを差し引いても、この日本語の美しさったらない。 明治生まれの人が書いたものなので、現代の我々からすると奇異なように映る語句の用法や表現も多々ある。けど、それは我々(もしかしたら私だけ?)が言葉を知らないからであって、日本語って自由なのだな、懐が深いのだなと思い知らされる。 文章技法のことは措いておいて、大長谷部皇子(雄略天皇)の名前は知っていても彼の身辺は凄惨だったということはあまり知られていないのでは。かくいう私も倭の五王の武だよね~ぐらいのことしか知らなかった。逆に主人公・眉輪王についての方がまだ知っていたぐらい。多分名前が変だからかな。「眉輪」というのは後からつけた美称的な漢字で、ほんとうは『古事記』にある「目弱」表記が正しいんだとなんとなく思う。かわいそうな名前…。 物語は市辺押羽王の二人の子(後の仁賢・顕宗天皇)が播磨へと落ち延びるあたりで終わる。つまり、この後は飯豊青皇女の時代。野溝氏がどんな風にこの皇女を書くか読みたかったような気もするなぁ。 ちなみに眉輪王の郷里である「日下」は、今の東大阪市日下町に相当するよう。今はもう沿岸部が埋め立てられて見えないけど、5世紀当時はここから河内湾まで見通せたらしい。今度行ってみよう。
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予め選ばれてあったように、ことばを、ひとびとを、物語を刻んだ(象嵌、という後記のことばがまさしく)おそろしくもうつくしい書物。
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