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ローマ五賢帝 「輝ける世紀」の虚像と実像 講談社現代新書
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 講談社/ |
発売年月日 | 1998/01/22 |
JAN | 9784061493896 |
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ローマ五賢帝
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商品レビュー
4.3
6件のお客様レビュー
古代ローマのエリートたちの出身地や経歴・親族関係などの碑文資料を元に、政治における力関係を描き出す。それにより一般に知られている様とは違った五賢帝時代を見せてくれる。
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ただ淡々と歴史をつづっているのではなく、五賢帝と呼ばれた人物に存在した苦悩や実情、暴君と呼ばれた人物の手腕などを、とても客観的かつ面白く書いている。過去の歴史から読みとったイメージだけで決めつけず、どの人物の事にも公平性を持って書いている。そのため最終的な判断は読み手である私たち...
ただ淡々と歴史をつづっているのではなく、五賢帝と呼ばれた人物に存在した苦悩や実情、暴君と呼ばれた人物の手腕などを、とても客観的かつ面白く書いている。過去の歴史から読みとったイメージだけで決めつけず、どの人物の事にも公平性を持って書いている。そのため最終的な判断は読み手である私たちにゆだねられることも多い。はっきりとした意見が欲しい人にはじれったく感じるかもしれないけれど、読者に”考える”機会を与えてくれる著書というのは、素晴らしいものだと思う。 また、五賢帝の闇にスポットを当てたと著者が言っているように、五賢帝時代もローマ国民にとっては平和な時代でも、皇帝自身は決して安寧な時を過ごしたわけではなかったというのがよくわかる。皇帝の苦悩がひしひしと伝わってきて、彼らに同情すらしてしまうほど。 とても参考になる、面白い一冊でした。
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現・京都大学大学院文学研究科西洋史学専修教授(古代ローマ史)の南川高志による古代ローマ帝国の全盛期とされる五賢帝時代への新たなアプローチを試みた著作。 【構成】 プロローグ 人類が最も幸福であった時代 第1章 訪れぬ光-五賢帝時代の始まり 1 皇帝たちの政治 2 「暴君」...
現・京都大学大学院文学研究科西洋史学専修教授(古代ローマ史)の南川高志による古代ローマ帝国の全盛期とされる五賢帝時代への新たなアプローチを試みた著作。 【構成】 プロローグ 人類が最も幸福であった時代 第1章 訪れぬ光-五賢帝時代の始まり 1 皇帝たちの政治 2 「暴君」ドミティアヌスの最期 3 「賢帝」ネルウァの登場 4 動揺する「賢帝」 5 皇帝トラヤヌスの誕生 第2章 最良の皇帝-トラヤヌスのローマ帝国 1 実現した平和と安定 2 「ローマ人」のローマ帝国 3 元老院議員たちの虚像 第3章 賢帝か暴君か-ハドリアヌスのローマ帝国 1 「暴君」ハドリアヌス 2 疑われた皇帝 3 ハドリアヌス政権成立の真相 4 意ぢあな統治者への道 5 後継者問題と悲しき晩年 第4章 苦悩する哲学皇帝-マルクス・アウレリウスのローマ帝国 1 アントニヌス・ピウス帝の美徳 2 幼い哲学者 3 パルティア戦争とマルコマンニ戦争 4 戦争と新しいエリートたち エピローグ 全盛期のローマ帝国を支えたもの 本書は著者の大学院時代以来の研究成果をまとめた『ローマ皇帝とその時代-元首政期ローマ帝国政治史の研究』(創文社、1995年)の一部を新書用に抜き出した内容となっている。 紀元96年のドミティアヌス帝暗殺から、紀元180年のコンモドゥス帝即位までのネルウァ、トラヤスヌ、ハドリアヌス、アントニヌス・ピウス、マルクス・アウレリウスの五賢帝の時代は、高校世界史で知られる「パクス・ロマーナ」の時代であり、かのギボンが『ローマ帝国衰亡史』で「人類が最も幸福であった時代」とまで評する時代とされてきた。そして、この時代は聡明な五賢帝が「養子皇帝制」を採用することで、世襲ではなく元老院中の有能者を次代皇帝に選出することで善政がしかれていたとされている。 しかし、本書はそのような通説に対して真っ向から反論を述べている。それも実証主義による「歴史学的手法」によって。つまり、一次史料を丹念につきあわせながら、それまでの通説が拠っていた論拠を突き崩し、より妥当な史実を提示しようとしているのである。著者によれば、五賢帝次代に「養子皇帝制」の実態は存在せず、実際は五賢帝以前の時代と同じように軍事力と元老院内の勢力関係によって皇帝は選出されていたのである。そしてそのような皇位継承の不安定さは、皇帝自身の権力基盤の脆弱さを端的に示し、五賢帝時代は「平和と安定」とはほど遠い混迷と戦乱の時代であったという。 しかしながら、著者が巻末で述べているように「いかに子細を調べ考証を重ねたとしても、古代史の分野で構築された時代像は所詮仮説の域から逃れることは出来ない。」 本書は、一次史料を精読することで、後世の「思いこみ」から解放されたリアルで率直な時代史を描くという歴史学の本来的な役割を担うとともに、一次史料が不足し二次史料に信憑性が不足する状況ではどれほど実証を行ったとしても既存の「思いこみ」と同じく「仮説」に過ぎないという歴史学の本質的限界を示している。(その点については、小田中直樹『歴史学って何だ』(pp.33-39)を参照していただきたい。)
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