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心を世界に繋ぎとめる 言語・志向性・行為
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 勁草書房/ |
発売年月日 | 1998/03/25 |
JAN | 9784326153329 |
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心を世界に繋ぎとめる
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セラーズやデイヴィドソンは、私たちの志向的意識が有する規範性は、自然主義的に還元することができないと主張した。だがそうした規範性の成立する「理由の空間」は、外的世界といったいどのように関わっているのだろうか。著者は、マクダウェルのウィトゲンシュタイン解釈に依拠することで、私たちは...
セラーズやデイヴィドソンは、私たちの志向的意識が有する規範性は、自然主義的に還元することができないと主張した。だがそうした規範性の成立する「理由の空間」は、外的世界といったいどのように関わっているのだろうか。著者は、マクダウェルのウィトゲンシュタイン解釈に依拠することで、私たちは言語習得を通じて直接開かれてくる世界の内に規範性を読み取ることが可能になるという解決を探ろうとしている。たいへん興味深い内容だが、もう一歩踏み込んで考察を展開してほしいという気がした。 第1章では、デイヴィドソンの「第三のドグマ」批判の帰結が検討される。クワインの近位説は、知覚判断を体表刺激に基づけることで私たちの信念を経験世界に根づかせるものだった。デイヴィドソンは、こうした議論のうちにひそむ概念と枠組みの二元論を批判して遠位説を提唱したが、それによって私たちの信念は経験世界から遊離してしまうことになる。著者はこうした問題点が、デイヴィドソンの行為論における非法則的一元論にも引き継がれていることを確認する。 この問題を解決するために、マクダウェルのウィトゲンシュタイン解釈が手がかりとされる。マクダウェルは、後期ウィトゲンシュタインの心の概念の考察を「概念なき直観は盲目である」というカントの洞察の展開として解釈する。二元論者は痛みの感覚は概念能力から独立に成立すると考え、行動主義者は痛みを痛みの表出と同一視する。だが両者は、心のうちの意識現象とそれに関係する外的なものとを切り離すという同じ前提に立っている。これに対して著者は、私たちは「痛み」という表現を学ぶことによって、しかめた顔に痛みを見るようになると主張する。こうして、概念による論理的なネットワークが私たちの経験世界につなぎとめられることになるというのが、著者の考えだと思われる。 著者はこうした考えに基づいていくつかの哲学的問題の見なおしをおこなっている。たとえば、アンスコムやデイヴィドソンの行為論が現在においてなされる意図的行為の考察に偏っており、未来のプランを立案する際に見られる意図のネットワークについての考察を欠いていることが指摘される。これは、言語を習得することによって開かれる「理由の空間」が、私たちの行為を導く役割を果たしているという主張だろう。また、デイヴィドソンの真理条件的意味論は単なる「翻訳マニュアル」にすぎないとするダメットの批判に対して、真理条件を言語習得の場面に置いてみることで、T‐文のメタ言語部分が振舞いにおいて直接把握されると理解できることを論じている。
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