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私の上に降る雪は わが子中原中也を語る 講談社文芸文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 講談社 |
発売年月日 | 1998/06/10 |
JAN | 9784061976207 |
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私の上に降る雪は
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商品レビュー
3.5
2件のお客様レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
中原中也の母、中原フクからの聞き書き本。 中原中也に関する話も興味深いが、明治〜大正〜昭和にかけての中上流家庭の女性の一代期としても面白い(なので、中也の死去後の彼女の人生についてももっと聞いてほしかったな)。生まれたときから家に女中さんがいるような生活、横浜での幼少期、勉強熱心な父親、八十年以上熱中した茶道。 村上氏のインタビューの少し前に中也の生家は火災で全焼してしまったようで、中也の手紙類や幼少期の工作などの資料はあらかた燃えてしまったらしい。思い出話のところどころで、あれも今回の火事で燃えてしまいました、というようなフレーズが出てきて無常感をかき立てられる。 本書から見て取れる「息子としての中原中也」は正直言ってひどいものだと思う。実家を離れてからも仕送り(当時の水準では高額)で暮らし、それでも足りずに金をせびり、人のつてで仕事を紹介されてもふいにしてしまう。 ただ、死の直前には一度地元の湯田に帰っての再出発を計画していたらしい。しかし、30歳の若さで鎌倉で亡くなってしまう。もう10年20年生きていれば、名声を上げ(何せ才能は確かなのだし)、自立して、親孝行することもあったのかもしれない。そう想像すると虚しい。フクは中也の死後に周囲から「死んで孝行なさいましたな」と言われたそうだけれど……
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母から借りた本は、講談社文庫だった。 古本屋で買った百円の値札があったが、ブクログには載っていないので、近刊のこちらで代理登録しておく。 とにかく記憶力が素晴らしいなと思った。 中原中也の母の、自身や周囲の人の来し方と、中也たち兄弟の記録。 それにしても、男の子六人兄弟とは賑や...
母から借りた本は、講談社文庫だった。 古本屋で買った百円の値札があったが、ブクログには載っていないので、近刊のこちらで代理登録しておく。 とにかく記憶力が素晴らしいなと思った。 中原中也の母の、自身や周囲の人の来し方と、中也たち兄弟の記録。 それにしても、男の子六人兄弟とは賑やか。そりゃあ喧嘩も多いだろうね。 養父母、実母が同居して、夫は忙しい開業医、自分は育児に集中という環境で、けっこう厳しく育ててきたらしい。 この母親が一家の実質的な中心人物だったようで、本当にお疲れ様、と声をかけたくなる。 この母親自身も学問が好きな性質で、そういう育ちをしているため、それなりの英才教育を中也にしてきたことは、間違いなく彼の文才や自信を育てたようにみえる。 一方で、親である自分たちが中也の詩作をよく思わなかったこと、世間ずれせずに育ててきたことで、中也が歪んだ気持ちを持ったらしい様子をあとで悔いていらした。 それにしても、この明治〜大正に、横浜、金沢、山口、広島、京都、東京とあちこちポンポンと行き来しているように見えるが、かなり時間がかかったことと思う。 中国にも滞在していた時期もあり、幼児も連れて、かなり心労があったと思う。 ・一生、中也には仕送りをしていました。本当に大変だった。 ・親から見れば、中也のわがままなところ、幼いところに腹がたった。 ・すでに実家が無かった中也の妻も、あとでうちから嫁に出してやった。 など、ここも本当にお疲れ様、です。 あのおなじみのランボーふうの格好も、田舎では心底嫌がられて、本人もそれを自覚していた様子には笑った。 若者の代弁者で、永遠の少年ぽい中也は、やはり身内からみれば困ったやつだったんだなあ。 幼い中也がすぐ下の弟を亡くして、毎日のように一人で墓参していた話、丈夫に見えても六人兄弟のうち、上の三人が早く亡くなったこと、中也自身の子も二人とも早世し、そのことで大きな影を落としたこと、いずれもこの時代ならではですが、今の子供達が健康に育ちやすいことに心から感謝しつつ、この本を読みました。
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