商品レビュー
4.3
6件のお客様レビュー
1998年刊。「定本」と名打っている。上下巻、総ページ数960。上巻は詩歌と小説にあてられている。 1933年、37歳で文学界から姿を消してしまった尾崎翠。その彼女の作品群を発掘し蘇らせたのが編者の稲垣眞美。尾崎翠に向けた並々ならぬ熱意。彼の熱意がなければ、私たちの知る尾崎翠はい...
1998年刊。「定本」と名打っている。上下巻、総ページ数960。上巻は詩歌と小説にあてられている。 1933年、37歳で文学界から姿を消してしまった尾崎翠。その彼女の作品群を発掘し蘇らせたのが編者の稲垣眞美。尾崎翠に向けた並々ならぬ熱意。彼の熱意がなければ、私たちの知る尾崎翠はいなかったろう。 上巻に収められているなかで、my favoritesは、「歩行」「こほろぎ嬢」「第七官界彷徨」の3作品。35~36歳、姿を消してしまう直前、最後の小説群になる。 (p.s. 付録の栞、山田稔の「尾崎翠――断想」がいい。恋人との別れについても触れている。)
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上巻収録作では、一九二七年辺り以降の作品は、いよいよ作家としての才気が溢れているように思えて、味わいのある作品が多い。 そして何といっても「第七官界彷徨」。何より読んでいて楽しいし面白いし、その一方で絶えず何処かに淋しさやもの哀しさ、感傷的でノスタルジックな彩りを帯びてもいて、そ...
上巻収録作では、一九二七年辺り以降の作品は、いよいよ作家としての才気が溢れているように思えて、味わいのある作品が多い。 そして何といっても「第七官界彷徨」。何より読んでいて楽しいし面白いし、その一方で絶えず何処かに淋しさやもの哀しさ、感傷的でノスタルジックな彩りを帯びてもいて、それは何だか純粋な結晶のようにも思えて、読み終わった心に不思議な感慨を残す。物語の中で小野町子は、第七官界に響く詩を書こうと願いながら叶わずにいるけれど、彼女が語る「第七官界彷徨」は、これを読んだ多くの人の心に響く作品であることには疑いない。とんでもないことであると思う。
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戦前に描かれたものなんだよね? 本当に? と思うぐらい、みずみずしく、新鮮で、今に通じる色彩があった。彼女の存在を知れてよかった、彼女の作品を読めてよかった、という感じがした。
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