モースの贈り物 甦る100年前の日本 小学館ライブラリー96

守屋毅(著者), セイヤー,ジョン・E.(著者), 小木新造(著者), 祖父江孝男(著者), 磯野直秀(著者), 佐原真(著者), ピーター・J.フェチコ(著者)

• 販売会社／発売会社: 小学館/
• 発売年月日: 1997/04/20
• JAN: 9784094600964

商品レビュー

2025/11/14

1990年9月～12月、国立民族学博物館で「モース展」が開催された。本書は、その時に行われた6回の連続講演会のトランスクリプト。スライドを見ながら、話を聞いているような臨場感がある。
エドワード・S・モース（1838-1925）、アメリカ・ポートランド出身。1877年、39歳の時に、シャミセンガイの調査研究のため3カ月の予定で日本にやってきた。到着の翌々日、大森貝塚を発見。さらには、動物学の学識を買われ、できたばかりの東大から教授職のオファー。日本で初めて進化論を講じ、また日本の先史文化研究の先鞭をつけただけでなく、大量の民具や陶器のコレクションを残した。帰国後は、『日本その日その日』や『日本のすまい』といった名著も著した。驚くのは、日本滞在がわずか2年半！　帰国後はセイラムのピーボディ博物館館長。
もうひとつ驚くことに、彼には学歴がなかった。16歳で製図工として働き始め、動物学は独学。23歳でルイ・アガシーの助手、それから本格的に研究の道に入る。なにやら、イギリスの天才科学者マイケル・ファラディーを連想させる。
ジョン・セイヤー「モースの偉大さ」は、ユーモアたっぷりに日本語で話す。磯野直秀「日本におけるモース」はコンパクトによくまとまった解説。ほかは、考古学、民俗学、博物館学から見たモース。彼の魅力をあますところなく伝える。