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土台穴 文学の冒険シリーズ
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土台穴 文学の冒険シリーズ

アンドレイ・プラトーノフ(著者), 亀山郁夫(訳者)

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土台穴 文学の冒険シリーズ

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 国書刊行会
発売年月日 1997/11/20
JAN 9784336039545

土台穴

¥2,585

商品レビュー

3.8

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2026/02/04

青年ヴォーシェフが機械工場を解雇される。解雇の理由は体力のなさと思考癖が目立ち、作業の流れを著しく乱すから、という。彼は永遠に快適な生活を約束する共同住宅の建設現場に職を見つける。そこは貧しい食事と過酷な労働環境に苛まれながら理想の住宅を作るための土台となる穴を掘る仕事なのだ。そ...

青年ヴォーシェフが機械工場を解雇される。解雇の理由は体力のなさと思考癖が目立ち、作業の流れを著しく乱すから、という。彼は永遠に快適な生活を約束する共同住宅の建設現場に職を見つける。そこは貧しい食事と過酷な労働環境に苛まれながら理想の住宅を作るための土台となる穴を掘る仕事なのだ。そこでヴォーシェフはチークリンら労働者や技師たちとともに穴を掘り続ける。そこに孤児の少女ナースチャが現れる。ナースチャの母親に甘い想い出のあるチークリンが彼女の面倒をみる。そして彼女を娘のように大事に思っていく。しかし過酷な環境下では、責苦、告発、闘争、殺人まで起こっていた。 この本が書かれたのは1930年。スターリン主義が始まったばかりのソビエト。土台穴という環境はまさにそのスターリン的共産主義社会のことである。穴は理想の住宅のために必要なもの。しかし理想の住宅は自分たちが生きている間に完成はしない。ヴォーシェフはナースチャに言う。 「どんなに一生懸命働いたって最後まで働ききって、すべてのことが分かったときには、もうへとへとになって死んでしまうんですからね。ナースチャ、大きくならなくたっていいんです。どうせ悲しい思いをするだけなんですから!」 自分たちは理想というイデオロギーのために骨身を削って働き続ける。プラトーノフは共産主義を肯定も否定もしない。ただこの共産主義の将来への失望と不安を抱いている。世界は連続する。そこにあるのは理想の未来のために現在の自分の人生を犠牲にする失望だ。つまりこの話は絶対唯一のユートピアが強いる全体的犠牲の物語なのだ。 「昔は自分の家族のことが心配だったが、今はすべての人間を守らなければならんのだ。そんな負担のためにおれたちは苦しめられているんだ」ここでは家族も個人も否定される。優先されるのは全体だ。そして「活動家は…」「階級としての富農を…」「官僚は…」と個人の名前ではなく階級や所属でのみ語られるシーンと個人名のシーンが書き分けられている。全体主義の中では個人は名前すら否定されるのだ。 「俺は何様でもないさ。俺たちには党があってな、それが何様なのさ!」チークリンは身分を聞かれてそう答える。個人ではなく所属を言って、その立場で人も殺すのだ。 ナースチャは病気になっても医者にも見せられず命を落とす。理想の未来を味わうはずの若い世代もそれを見ることもできずに死んでいく。それがこの社会主義の破滅を意味するのかどうかはわからないと作者は書くが、スターリン主義という歪んだ社会主義への失望をプラトーノフは感じていたんでしょうね。 どんな政治体制も完成されたものではなく、限界もあるものだから、その良し悪しという話ではなく、それぞれの時代においてその人の幸福とは何かということなんでしょう。

Posted by ブクログ

2010/07/28

[ 内容 ] 「私的生活30周年を迎えたその日、ヴォーシェフは、彼がそれまで生活の資を得ていた小さな機械工場を解雇された。 通知状には、体力のなさや思考癖がいよいよ目だち、全体の作業テンポを著しく乱していることを理由に現場から取りのぞかれると記されてあった。…」自らの存在に不安を...

[ 内容 ] 「私的生活30周年を迎えたその日、ヴォーシェフは、彼がそれまで生活の資を得ていた小さな機械工場を解雇された。 通知状には、体力のなさや思考癖がいよいよ目だち、全体の作業テンポを著しく乱していることを理由に現場から取りのぞかれると記されてあった。…」自らの存在に不安を覚えつつ、ヴォーシェフは生活の糧を求め、永遠に快適な生活を約束する共同住宅の、建設現場へとたどり着く。 そこには、貧しい食事と厳しい自然に苛まれながらも、理想の住宅を作るために土台となる穴を掘りつづける労働者や技師たちがいた。 朝から晩まで、骨身を惜しんで働きつづける男たち。 やがてそこに、1人の孤児の少女が現れ…。 驚倒すべき視覚的イメージと、異様ともいえる言葉の衝突で、現代に生きる人間の孤独と生死を超えた宇宙の営みを描き出し、「20世紀のドストエフスキー」と異名をとる、今世紀ロシア最大の作家の幻の傑作。 [ 目次 ] [ POP ] [ おすすめ度 ] ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度 ☆☆☆☆☆☆☆ 文章 ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性 ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性 ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度 共感度(空振り三振・一部・参った!) 読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ) [ 関連図書 ] [ 参考となる書評 ]

Posted by ブクログ

2009/11/19

ソ連の共産主義社会を描いた小説。 いわゆる底辺労働者の描写が主で非常に暗く、救いがない。 別に読んだプラトーノフ短編集のほうが個人的には好みであるが、労働者の中、1人瑞々しい生気を纏った少女の存在感は素晴らしかったと思う。 人々は彼女のような子供にしか未来を見られなかったのでは...

ソ連の共産主義社会を描いた小説。 いわゆる底辺労働者の描写が主で非常に暗く、救いがない。 別に読んだプラトーノフ短編集のほうが個人的には好みであるが、労働者の中、1人瑞々しい生気を纏った少女の存在感は素晴らしかったと思う。 人々は彼女のような子供にしか未来を見られなかったのではないだろうか。 (もっともその未来もかすかに見える程度だろうし、既に共産主義、或いはソ連の社会によってゆがめられたレンズを通して、かもしれないが)

Posted by ブクログ

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