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水滴
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商品詳細
内容紹介 | 内容:水滴. 風音. オキナワン・ブック・レヴュ- |
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販売会社/発売会社 | 文藝春秋/ |
発売年月日 | 1997/09/30 |
JAN | 9784163172804 |
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水滴
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商品レビュー
3.6
10件のお客様レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
五十年も昔、仲間を裏切ったことへの罪悪感がこの奇妙な病として表れたのか。 急に原因不明の冬瓜のように腫れた足をかかえ意志疎通できない寝たきりになった男。 そして夜な夜な沖縄戦で犠牲になった仲間の日本兵たちが足から染み出てくる水を飲みにやってくる。その中に、同郷で友だった石嶺が現れるようになる。石嶺に足を吸われ男はエクスタシーを感じてしまう。生死の境は、子孫を残そうと生殖本能が起きると聞きかじったことがある。必ずしも性愛があったわけではないと思うけど、石嶺は美しいもののような形容のされかたをしている。そこには赦しを求める者として神聖視しているのかもしれない。 羅生門の醜女のようなキャラの従兄弟も含めて、芥川賞っぽいなぁと感じた。 同録『風音』の方が引き込まれた。こちらも沖縄、戦時中の回想と戦後が入り交じる構成。各々が一人の風葬された若い兵士と関係する人物だったという、真実が少しずつ明らかになっていくお話で、一気に読めた。鳥葬ではなく蟹…そうだ蟹の眼って飛び出てるんだったと想像してゾッとした…。 死んだ若い兵士は美しく、表題よりこちらのほうが匂い系だった。ノンフィクションとも幻想的ともいえるので、戦争ものと気負わず、その描写力を堪能して欲しい。 (リトルモア版「風音」とは内容違うらしい) 私の祖父も戦争体験者で、防空壕で敵からガス攻撃されたとき、たまたま側に隙間があったから生き延びられたと。いまの子供たちは、身近にそういう方たちがいないんだなぁ。平和な未来を願っていた祖先と、かなり解離した日本の平和ボケというのは、今この世界の中でみると少し恐ろしいような居心地の悪さを感じる。もちろん世界中が争いのない平和ボケになれば良いのだけど。
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水を使うと神秘的なイメージになる。でも、それだけじゃなかった。戦争は生き残ったものの気持ちもまえに進めなくする。滞っていた心の思いとか、叫びみたいなのをうまく使ってるのかなと思った。それに、沖縄の言葉は本気で何をいっているのかわかりません。
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表題作の「水滴」、続く「風音」は、戦時中の沖縄を思い返し、現代に生き残った者が何かをする、という話しの構造になっている。構造は同じだが、展開は全く異なる。 「水滴」はまず全体的に短く、寓話っぽく、悲しいのにどこか可笑しく思えてしまう。最後には勧善懲悪な要素もある。しかしこれが賞を...
表題作の「水滴」、続く「風音」は、戦時中の沖縄を思い返し、現代に生き残った者が何かをする、という話しの構造になっている。構造は同じだが、展開は全く異なる。 「水滴」はまず全体的に短く、寓話っぽく、悲しいのにどこか可笑しく思えてしまう。最後には勧善懲悪な要素もある。しかしこれが賞を受賞したというのは、不思議というか、珍しいこともあるのだな、という印象が拭えない。 「風音」の方が、現代と、戦時中との差別化が出来ているのに、その距離というものが近くに描かれ、人物の内面が各々、スポットライトの当たり方によって強弱はあるが、描かれていたし、政治的(正しくは金絡みの問題)でもあった。二篇とも、重く、生き残った者たちの悲しみと息苦しさが、沖縄の言葉でもって、濃く描かれていた。 三篇目の「オキナワン・ブック・レビュー」は、実験作で、戦争とも関わりはあるが、少々悪趣味なものだった。レビューを通して人物を描き、最後には点と点が線を結ぶ構造になっているが、中身が文化的な書かれ方をしているにも関わらず、薄っぺらく、冗長が過ぎる気がした。
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