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「経済人」の終わり 全体主義はなぜ生まれたか
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商品詳細
| 内容紹介 | |
|---|---|
| 販売会社/発売会社 | ダイヤモンド社 |
| 発売年月日 | 1997/05/29 |
| JAN | 9784478372111 |

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「経済人」の終わり
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「経済人」の終わり
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商品レビュー
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革命を革命として認めず、現存の勢力のお色直しにすぎないとする幻想は、つねに旧体制が抱こうとするものだった。同じように16世紀のローマ法皇、17世紀のイギリス王党派、18世紀のフランス貴族も、新しい運動を支持する者は少数にすぎず、彼らの勝利も、大衆の本能を扇動した結果にすぎないという見方に固執した。そしてまさにこの幻想が、旧秩序の主たる敗因となったのだ。(中略)革命の本当の原因、唯一可能な原因とは、価値観の変化、とくに人間の本性と、天地万物および社会における人間の位置付けという、最も重要な領域における価値観の根本的、根源的変化である。(pp.12-13) ドイツとイタリアという二つの全体主義国において、その主たる目標としての完全雇用は実現された。かつての失業者のかなりの部分が、経済活動ではなく、軍野党で働いているにすぎないとの指摘は、完全雇用政策の成功をいささかも傷つけはしない。事実の問題として、彼らは、生産活動において生産的な仕事をするのと同じように、自分たちが意義ある仕事についているものと信じている。そのことにこそ意味がある。(pp.164-165) 大衆が消費の削減を受け入れ、消費財の代わりに生産されるものを望ましいものとして受け入れるかぎり、全体主義経済は機能する。「バターよりも大砲を」という言葉は、経済的な代替についていっているのではない。精神的、社会的な選択についていっている。 一般にいわれていることとは逆に、消費削減は全体主義社会の弱みではなく、強みである。消費削減は脱経済社会を成立させるための手段である。自らの生活水準および消費水準の低下が一つ上の階級よりも少ないことから得られる満足でさえ、経済的な報酬を非経済的な報酬に代えたことを補うに足る経済的実体となりうる。 この種の消極的な満足は、全体主義の脱経済社会においては、大きな社会的満足をもたらす。大衆が脱経済社会というイデオロギーを信奉しつづけている間は、この種の社会的満足は十分意味をもつ。したがって、全体主義経済の崩壊は、もしそれが起こるとしても、経済的な崩壊としてではなく、精神的な崩壊として起こる。(p.170) ナチズムの反ユダヤ主義は、ユダヤ人自身の特質とは関係ない。関係があるのは、ナチズムの内における緊張がつくり出すユダヤ人像のみである。ナチズムにとって、人種的反ユダヤ主義は手段にすぎない。本当の敵はユダヤ人そのものではない。ブルジョア秩序である。ナチズムは、ブルジョア秩序にユダヤ人の名を付して闘う。 ナチズムの反ユダヤ主義は、ブルジョア階級の秩序や人間観に代えるべき校庭の概念を構築できなかったことに起因する。階級闘争に走るわけにはいかないナチズムとしては、別の観点からブルジョア資本主義と自由主義を攻撃せざるをえない。(p.206) 軍事力は、それがいかに必要であるとしても、全体主義の猛威に十分対抗しうる新しい社会を実現するための手段とはなりえない。それどころか、生産活動を軍拡に従属させることは、軍拡そのものを社会目的として賛美することにつながり、経済の不振を通じて、全体主義を招き入れるという重大な危険を伴う。 そのうえ、何れにしても軍事力は、世の常として、来るべき戦争ではなく、この前の戦争に備えてしまう。このことは、経済学者がつねにこの前の不況に備え、株の投機を行う者がこの前のブーム時に人気のあった株を買うように、過去の経験の他に頼るもののない仕事では止むをえないことかもしれない。 しかし、少なくともこのような認識は必要である。この認識さえあれば、全体主義を真似、軍事的要請を超えた社会的要請に基づいて軍事体制化を推進することに対しては、疑念が生ずるはずである。(p.258)
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訳者の方が「息もつかせぬ」という展開、作者もですが訳者の方の仕事も素晴らしい名著かと思います。 ドイツはソ連と戦争して欲しいと回りは思っていた、でも内部力学は逆である。ドイツがソ連を攻撃するとしたらヒトラー個人の心情からで、それを実行すれば力学との矛盾からナチスは崩壊する、というのは怖いほど当たっている気がします。スパイでも雇っていたのではないかっつー程です。チャーチルは、イギリス軍将校にこの書を配ったと言いますが、もしヒトラーがこの本を読んでいたら、全体主義の崩壊は遅れて今頃「暗黒の時代」だったかもしれないですね。 チャーチルは、うつ病や老齢と戦いながら、こんな素晴らしい知性が味方の陣にいて、さぞや大きな心の支えになったのではないかと勝手に想像してしまいます。 ですが読み終わった後に、この本で扱われている時代の70年も後の現代、この本に既に出てくる「エコノミックアニマル」の繁栄は「終わり」だった気がしません。全くもって今も続いているのではないでしょうか? 同時代の分析結果が余りに素晴らしく、内容が素晴らしいだけに、「終わった」後の次の「概念」が、恐らくこの70年で「成功」したのではないかと思われるのですが、何だったのか、作者の処女作がこれという事ですので、次回作以降に書いてあるはずで、非常に興味深いところです。 「経済的平等」という状況は、欧州の中だけでも、何という「人」が出てきても実現できる気がしないからです。 次作は、嬉しい事に既にわかっていて”「産業人」の未来”だそうで、早く読みたいと思います。
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読書の目的 ①ドラッカー思想の原点を知る。 ②この著書で行った未来予測(「ナチスはユダヤ人を迫害する」、「ヒトラーはスターリンと条約を結ぶ」)の手法を学ぶ。 言わずと知れたドラッカーの処女作。 ドラッカーは、序文の中で本作を「20世紀前半における最大の社会現象としての全体主義の...
読書の目的 ①ドラッカー思想の原点を知る。 ②この著書で行った未来予測(「ナチスはユダヤ人を迫害する」、「ヒトラーはスターリンと条約を結ぶ」)の手法を学ぶ。 言わずと知れたドラッカーの処女作。 ドラッカーは、序文の中で本作を「20世紀前半における最大の社会現象としての全体主義の興隆を理解するための最初の試み」としています。 ・「経済人」とは何か。 自らの経済的動機(経済的地位、報酬、権利)に従って行動し、そのための方法を知っているという概念上の人間。自由な経済活動をあらゆる目的の手段として見るブルジョア資本主義社会とマルクス社会主義社会の基盤となるもの。 ・何故、全体主義は発生したか。 ヨーロッパの基本的価値観は、正統な権力の下で人間を自由と平等の存在と見ることだった。 18世紀後半の産業革命以降、ブルジョア資本主義は経済発展をもたらしたが、格差と疎外を生んだ。 これに対する秩序として期待されたマルクス社会主義も、特権階級による大衆支配を生んだ。ブルジョア資本主義とマルクス社会主義は激しく争いながらも、その本質は「経済人」の概念を基礎とする「経済至上主義」であり、ヨーロッパの価値観である自由と平等をもたらさなかった。そして「経済至上主義」に代わる秩序が現れない中、第一次世界大戦による破壊と大恐慌による大量失業が発生し、旧秩序は完全に崩れ去った。 国家社会主義という名の全体主義は、このような状況下で発生した。その本質は「経済至上主義」を否定した「脱」経済至上主義である。当時、経済至上主義に代わる概念は、この国家社会主義という名の全体主義だけであった。イギリスやフランス等、歴史的に国民が自らの手で民主主義を勝ち取った国々は、全体主義に進むことを踏み止まった。しかし、民主主義を国家統一の手段としていた国、つまりドイツとイタリアが耐え切れずに全体主義に走った。日本も同様であった。 ・新たな社会秩序の出現 国家社会主義という名の全体主義は、あくまで「脱」経済至上主義である。これは“「経済至上主義」ではない”と言っているに過ぎない。ヨーロッパ伝統である自由と平等を基礎とした新しい秩序を一切提示はしていない。したがって、旧い秩序に代わる新しい秩序を作ることが出来れば、全体主義を克服することができるとドラッカーは本作を締め括っている。 【感想】 正直な感想は、「疲れた」です。内容は非常に難解。理解できるまで何度も読み直しが必要でした。 上記で掲げた目的意識がなければ、途中で挫折したでしょう。 ドラッカーは冒頭で、本書を「政治の書」としています。私は、政治書であると共に、歴史書、思想書、哲学書でもあると感じました。 一方で、本作を読み進めるうち、ドラッカーの問題意識が「正統な社会の下で人間は位置付けと役割を必要としている」という点を理解することが出来ました。この考えがドラッカーの思想の原点と言えるのではないかと考えます。 この「経済人の終わり」では、旧秩序に代わる新たな秩序の提起には至っておらず、その具体的な提起は、次回作の「産業人の未来」で改めて行われるようです。 【参考文献】ドラッカー入門(上田惇生著 ダイヤモンド社)
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