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天について 西洋古典叢書G003
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 京都大学学術出版会 |
発売年月日 | 1997/10/25 |
JAN | 9784876981052 |
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天について
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全4巻、前半は「月より上の世界」、後半は「月より下の世界」である。巻一では、円運動するアイテール(エーテル)が存在すること、無限な物体が存在しないこと、宇宙が唯一にして不生不滅で、その外には何もなく、球形であることなどを、ギリシア自然学(ヘラクレイトス・アナクサゴラス・パルメニデス・プラトン『ティマイオス』)を批判しつつ、観察と論理によって推論する。巻二は、星の運動が主題である。惑星運動を説明するため、最外天から55の天球が設定され、星が天球に貼りついて動くこと、星が球形であること、ピタゴラス説のように星が和音を奏でている理由はないことなどが論じられている。第三巻は、元素がメインである。天上界はエーテルが充満し永遠の世界だが、月下界は四元素にみちた変化の世界であるという認識は、アリストテレス自然学の基本的な枠組みである。ここでは自然物には運動があること、元素が複数あること、元素は相互に生成し、形がないことが論じられている。巻四は、「重さ」について論じられており、四元素のうち、月下界の最上層に位置する火は絶対的に軽く(無重量)、宇宙の中心、つまり地球の中心にあつまる土は絶対的に重く、火と土の間に位置する空気と水には相対的な重さがあるということになる。アリストテレスがまとめた地球中心説はガリレオ・ニュートンら17世紀にはじまる「科学革命」によって否定される理論であるが、火がつねに上り、土がつねに落ちるように「物にはそれ独自の自然な運動がある」という概念は、ニュートンの万有引力に受け継がれている。重力がどう媒介されているのかという点は今でもブラックボックスである。また、ビックバン宇宙論でも宇宙は球状であると想定されている。このように古代の宇宙論を全くの誤りだと捨て去ることはできない。また、第二巻にある宇宙生物説や視線の理論、エンペドクレスの宇宙渦動説、ピタゴラス学派の地動説(「ゼウスの番所」)なども興味深い内容である。元素の形については、立体の空間充填問題にも言及している。ニーチェはギリシア古典を学んだ学者であり、彼の永劫回帰説などもアリストテレスの宇宙論から着想を得ていると思う。
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