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三人寄れば虫の知恵
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三人寄れば虫の知恵

養老孟司(著者), 奥本大三郎(著者), 池田清彦(著者)

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三人寄れば虫の知恵

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 洋泉社/
発売年月日 1996/04/25
JAN 9784896912098

三人寄れば虫の知恵

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商品レビュー

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2021/01/02

・今、医者がそういうことをやっているんです。ただいま現在で体の状態を測り、検査結果として出す。ただいま現在の状況が読めれば、あとは全部読めるはずだという前提でやっていくから、そういう連中に進化の講義をしても、大学院生のいちばん成績優秀なのがなんと言うかというと、「先生、そんな済ん...

・今、医者がそういうことをやっているんです。ただいま現在で体の状態を測り、検査結果として出す。ただいま現在の状況が読めれば、あとは全部読めるはずだという前提でやっていくから、そういう連中に進化の講義をしても、大学院生のいちばん成績優秀なのがなんと言うかというと、「先生、そんな済んじゃったこと調べて何になるんですか?」(笑)  現在の段階のデータをピシッとあてはめれば、次の段階は予想できるという。そこには歴史性というのはゼロになってしまうんですよ。すべてが現在化する。それが現代社会です。そうなると、医者は、既往歴を聞かなくなるんです。過去に何があってこうなったにせよ、現在の状態がこうなんだから、それをどうすればいいか、という考えになる。現代人の考え方は全部そうなってくるんです。 ・虫はもちろん人間が創ったものではない。見方によって同じだと思っていたものが違って見えたり、違うと思っていたものが同じに見えたりする。自然物の中から同一性と差異性を発見すること。虫を”見る”ことはまさにそのことにほかならない。自然物の中になんらかの同一性と差異性を措定することは、別言すればコトバを創ることと同じである。これは正しくは発見ではなくて発明である。科学というイデオロギーは、それを発明ではなく発見であると言い͡放しているけれども。  ほとんどの人はコトバを新しく創るわけにはいかない。しかし、虫を”見る”ことならいくらでもできる。しかし虫を見て、コトバを創るのと同型の快楽に耽るためには、現代人はあまりにも人工物に浸りすぎている。 ・絵の売買はよくて、どうして虫の売買はいけないの?とくに新聞が好んで書きたてるのは「業者の乱獲」とかね。  僕がいちばん困ってるのは、ちょっと違いますけど、死体の標本をどうするか、どういう形で研究費を回収するか、ということです。回収の仕方によっては売買になっちゃうんです。  そうすると反発食うんだよね。プラスティネーション標本(人体組織の水分を取り除き、代わりに樹脂を浸透させてつくる人体の標本)なんて売ったら新聞沙汰になっちゃうよね。  それは、売ってるんじゃなくて、原価を払ってるんだというんだけど、そういうことを誰も論理的に教えてくれないんだよね。経済原理をどこまで応用していいのか。標本もそうだし死体もそうだけど、そういうところに経済原理を持ち込んじゃいけないということになってるんですね。  そうですね。汚らわしいし、いけない。  そう。まさに「汚らわしい」がついてるんです。それは、告別式で塩を配るのと似た論理だと思う。生きているうちに訪問しても誰も塩なんか撒かないのに、死んだあとにその人を訪問したら塩を撒かなきゃいけないということと、間違いなく連動してますね。  死体が汚れているかと思うと、金のほうも汚れてる。死体の売買だと、汚れが二重になっちゃう。

Posted by ブクログ

2020/05/24

三人寄れば文殊の知恵どころか、この三人が寄ればとんでもなく面白い。といっても、虫に関することばかりだけどね。虫屋の眼、虫の眼からこの世界を見て、環境問題をを始めとしていろいろなことを言いたい放題に言う。虫屋をやっていて得なことなど何もない、というだけあって、いわゆる利に捕らわれな...

三人寄れば文殊の知恵どころか、この三人が寄ればとんでもなく面白い。といっても、虫に関することばかりだけどね。虫屋の眼、虫の眼からこの世界を見て、環境問題をを始めとしていろいろなことを言いたい放題に言う。虫屋をやっていて得なことなど何もない、というだけあって、いわゆる利に捕らわれない視点をもって語っているので、いっそ気持ちがいい。もちろん昆虫についての実体験に基づいた様々な面白い話を披露してくれる。なかでも虫の擬態というのは、本当に不思議だ。新しい昆虫がやってきたその次の年に、すぐさまその昆虫に擬態するものが現れることがあるという。ええーっ、いったいどんな力が働いてそうなるんだろう。吃驚仰天とはこのことである。でも、こんなことは虫の世界では当たり前のことかもしれないのだが、いやそれにしても進化論的にみるとどうなんだろう。1995年というちょっと古い本だが、今も面白さは褪せていない。

Posted by ブクログ

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