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夢見つつ深く植えよ
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | みすず書房 |
発売年月日 | 1996/02/13 |
JAN | 9784622045977 |
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夢見つつ深く植えよ
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ベルギー生まれアメリカ育ちの詩人メイ・サートンは46歳のとき、亡き両親が故郷から運んできた家具と一緒にニューハンプシャーのネルソンという村にある古い家へ移り住む。それはじっくりと孤独を味わい、家や庭と対話し、新しい土地に少しずつ分け入っていく日々のはじまりだった。ひとり暮らしの理...
ベルギー生まれアメリカ育ちの詩人メイ・サートンは46歳のとき、亡き両親が故郷から運んできた家具と一緒にニューハンプシャーのネルソンという村にある古い家へ移り住む。それはじっくりと孤独を味わい、家や庭と対話し、新しい土地に少しずつ分け入っていく日々のはじまりだった。ひとり暮らしの理想と現実を省察するエッセイ。 田舎の古くてデコラティブな家をリフォームして、自分の好きに絵や庭で摘んだ花を飾って住む……赤毛のアンが10代の頃の夢を叶えたみたいな生活。サートンはヨーロッパにある家族のルーツと、アメリカで育ってきた時間が融合する場所として新たな住処をコーディネートしていくのだ。 ステキな生活というだけではなく、自分のなかの「鬼」と闘う詩人の孤独な執筆活動を描いたエッセイでもあり、そんな彼女がコミュニティになじんでいくまでのドキュメンタリーでもある。サートンは隣近所の人びとをとても魅力的に描く。古い家に気配を残しているたくさんの”幽霊”たちのことも。動物や植物もサートンの手を焼かすが、彼女に天啓を与える大事な存在だ。「庭づくりは人に、あらゆるものについての平衡感覚をあたえてくれる、ただし庭自体は例外だけれど」。ひとりの偉大な老人の死として語られる楓の伐採も忘れ難い。 訳者の武田さんが「完結し美化された世界」と書いているとおり、本書はサートンが田舎暮らしの美しい部分をすくいあげて綴った、憧れの結晶みたいなものだと思う。最後の章ではじめて彼女はネルソンへの失望を語る。それは土地により深く入りこんでいくために必要なプロセスだったのだろう。だが、新参者だからこそ楽しげに語られる美化された日々には、その時間にしかないきらめきがあるのもたしかなのだ。
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古書店で老境に入った際の続編日記を手に取る。 田舎の隠居小屋で1人キャスリーン・フェリアを聞く老女流詩人のえもいわれぬ雰囲気に惹かれ、まず1作目を。 訳者も上手で、自然の中での暮し、淡々と過ぎつつも奥深い日常が染みいる。 <その他の書籍紹介> https://jtanigu...
古書店で老境に入った際の続編日記を手に取る。 田舎の隠居小屋で1人キャスリーン・フェリアを聞く老女流詩人のえもいわれぬ雰囲気に惹かれ、まず1作目を。 訳者も上手で、自然の中での暮し、淡々と過ぎつつも奥深い日常が染みいる。 <その他の書籍紹介> https://jtaniguchi.com/tag/%e6%9b%b8%e7%b1%8d%e7%b4%b9%e4%bb%8b/
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母が良いわよ、と言っていたのを思い出して、母から借りて読んだ。 すっごく良い。40代独身女性詩人、田舎で家を買う、と言う話なんだけど、古い家、庭造り、植物と動物たち、友人や隣人、「幽霊」たち、そういう暮らしの全てへの真摯な向き合いが綴られている。なにより孤独の中で自らの感情と思索へ真っ向対決していく苦しみ、強さ。 作家の苦しむ「鬼」の話は面白かった。こんな人でもこれに苦しむのか、という思いと、繊細な感性が残酷になぶられても鬼からすら逃げない作者の苦闘への尊敬の念。 詩作家だけあって繊細な描写一つ一つにうっとりさせられて、読んでいて文学少女みたいな気分になる。「長いあいだの悲しみが、私の野原で何度も見た朝もやのように、立ちのぼり、そして消えていった。」「羊毛のように厚く、やわらかい沈黙がみなぎるばかり。」 そうかと思うと示唆に富む力強い言葉がたくさん投げかけられて、ときめきと憧れが止まらない。「ただ静かにわが道をゆき、密使を送り出すほかない。」「外界は、感情の広大な反響にすぎない。」「夢見る想いを深く植えるために」 こんな風に世界を感じて、こんな風に書いてみたい。ほんとに年甲斐もなくただただあこがれてしまう。 作者は55歳で「時間が圧縮される」ことについて語っているけど、私はすでにそんなようなことを日々感じている。と思う。もしかして、今後もっともっと圧縮されていくのだろうか(恐ろしい…)。はたしてこれから「神秘的なやり方でそれは開いていく」ことをちゃんと感じられるかしら。夢見る思いを、深く植えなければ…。
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