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資本主義の未来
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資本主義の未来

レスター・C.サロー(著者), 山岡洋一(訳者), 仁平和夫(訳者)

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資本主義の未来

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 ティビーエスブリタニカ/
発売年月日 1996/10/26
JAN 9784484961125

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2018/10/08

今,BRICSを筆頭に新興経済圏がグローバル経済においてプレゼンスを増している。あらゆる資源価格は高騰し,争奪戦の様相すら呈してきている。そんななか,20世紀にイデオロギーとして勝者となった資本主義,もしくは民主主義はこの先,こうした新興経済圏をも上手く取り込んで持続することが可...

今,BRICSを筆頭に新興経済圏がグローバル経済においてプレゼンスを増している。あらゆる資源価格は高騰し,争奪戦の様相すら呈してきている。そんななか,20世紀にイデオロギーとして勝者となった資本主義,もしくは民主主義はこの先,こうした新興経済圏をも上手く取り込んで持続することが可能なのか・・・そうした疑問を最近常に持ち続けていた中で古本屋で見つけた本である。 この本が書かれたのは,1996年であり既に10年以上の時が経っている。そういう意味では,当時の著者の予見が現在どのようになっているかという事後検証を同時に行うこともでき興味深かった。 著者は,まずプレートテクトニクスという表現を用いて20世紀の世界経済の枠組みが壊され,その変化に適応できる者が21世紀の勝者となるという話を序盤で展開している。1.グローバル化による要素価格均衡化,2.知識資本主義,3.共産圏の崩壊,4.世界経済を牽引する覇権国が不在となる=アメリカの世界におけるプレゼンスの低下,5.人口爆発問題と先進国での高齢化問題 といった5つの問題が提起されている。 21世紀となった現在,アメリカは依然として世界経済を牽引する役割を担い,外交においてもイラク,北朝鮮などの諸問題において主導的な役割を果たしている。この点において著者の予見は外れたものになっているが,その他については概ね氏の予想通りの世界になっているのは,さすがである。特に高齢化について,その当時よりこうした問題提起が行われていたにもかかわらず無策であった日本の政治の無能さを改めて思い知らされる。著者は全体として日本の将来については悲観的な見方をしていたが,当時の日本の政治,企業経営をみていれば,そう思うのもまた仕方が無いことかもしれない。まさか,小泉純一郎のような強力なリーダーシップと志をもった稀代の政治化が日本に現れるとはさすがに予想していなかったであろうから。 この本のハイライトは,後半の「資本主義VS民主主義」という章であろう。本来対立するものして考えられていない両者が,今後の世界経済においては必ずしも相容れるものではないということである。確かに,経済のグローバル化によって金融を中心とした米英的な資本主義が主要先進国において好まざるとも浸透しつつあるのは紛れもない事実である。個人が自己の効用を最大化することのみを追求することによって,結果として資源の最適分配が行われ経済を成長させるという理論はミクロ経済の基本的考え方であるが,全ての人がその経済成長の恩恵にあずかれないことが問題である。当然,そうした資本主義の恩恵の外に置かれた人たち,つまり技能が無い人や高齢者たちの割合が増えて行くにつれ,彼らが望む政策は資本主義と対立するということである。本来将来への投資をしなければならない政治が,現在の高齢者の満足を満たすための政策に走れば経済成長は無い。高齢化が進行する日本では,こうした世代間の対立が資本主義と民主主義の対立として具現化する可能性を否定できない。 アメリカでも移民や低所得への教育に対する公共部門の予算は削られる一方である。直接的には中間層はこうした人たちに自分たちの税金が投入されることは不本意であるかもしれないが,国や職場においても自分以外の人たちが優秀であるがために自分もその恩恵に預かる事ができる外部性が存在することを理解していない。民主主義では支持されない政策が,資本主義における成長には必要であると言う例である。 この本において提起されている諸問題のほとんどは,10年以上の時を経てもいまだ解決されていない。資本主義の未来については冒頭で述べたとおり新興国の台頭もありますます混迷の様相を深めている。何十年か後には,いつか資本主義は破綻するのでなないかという疑念を払拭することはできないままである。

Posted by ブクログ

2018/03/03

1996年に上梓されているので今がその未来なのかもしれないが、当時彼が警鐘を鳴らしたことが現実として目の前にある反面、世界的な異次元金融緩和に代表されるような当時としては禁じてであった施策も現前としており、時代の変化への対応を感じさせる。しかしながら、当時から懸念されていた格差の...

1996年に上梓されているので今がその未来なのかもしれないが、当時彼が警鐘を鳴らしたことが現実として目の前にある反面、世界的な異次元金融緩和に代表されるような当時としては禁じてであった施策も現前としており、時代の変化への対応を感じさせる。しかしながら、当時から懸念されていた格差の拡大は今も留まる気配はなく分断化と共に政治的な課題にまで拡大している。

Posted by ブクログ

2014/08/12

 労働市場が世界に開かれることで、先進国の労働賃金が確実に安くなる。すでに現状はホワイトカラーと言われている人達の賃金低下現象すら起きている。資本主義がグローバル化することで、世界の企業は生産コストを最低限に下げる使命を果そうとするだろう。昨今、人、物の移動が自由になることで大企...

 労働市場が世界に開かれることで、先進国の労働賃金が確実に安くなる。すでに現状はホワイトカラーと言われている人達の賃金低下現象すら起きている。資本主義がグローバル化することで、世界の企業は生産コストを最低限に下げる使命を果そうとするだろう。昨今、人、物の移動が自由になることで大企業の城下町はかっての賑わいをまちがいなく失い荒廃するにまかせる。

Posted by ブクログ

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