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砂の子ども
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砂の子ども

ターハルベン=ジェルーン(著者), 菊地有子(訳者)

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砂の子ども

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 紀伊國屋書店/
発売年月日 1996/06/28
JAN 9784314007306

砂の子ども

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商品レビュー

3.3

7件のお客様レビュー

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2026/04/01

物語の舞台はモロッコ。 女性が抑圧される社会で、相続権において不利にならないように、女として生まれながらそれを隠し男として育てられた人物がいた… 旧市街の広場で講釈師は、その女性?男性?が遺したというノートを基にその人生を語り始める。 講釈師の語りは多少回りくどいがまだ語る内容...

物語の舞台はモロッコ。 女性が抑圧される社会で、相続権において不利にならないように、女として生まれながらそれを隠し男として育てられた人物がいた… 旧市街の広場で講釈師は、その女性?男性?が遺したというノートを基にその人生を語り始める。 講釈師の語りは多少回りくどいがまだ語る内容は明瞭だ。しかし、彼が引用するノートに書かれた文章というのは非常に思索的で比喩的。一読して理解するのが困難な、夢の中に現れるような文章。そして、その講釈師も突然いなくなり、話の続きは別の人に語り継がれ、ますます何が本筋で、何が妄想で、何が現実で夢なのか分からなくなってゆく… 通底するのは、モロッコに蔓延るジェンダーギャップと女性としての生きにくさ、しかし翻せば男性にとってもプレッシャーの強い、何とも息苦しさを感じさせる現実がある。 しかしそれだけでなく、アフリカや南米をあちこち彷徨し、夢や思索を往還し、事実と想像を渡り歩く、夢幻の心地もまた本書には通底する。 さて、本書の語りの中で、正直私は迷子になってしまったのだが、興味深いのは、どうも男性の語り手の話は読みやすく、女性の語りのほうが内面的で読みづらかったように思われるところである。 著者がその辺りを意識していたのか、単に私の思い違いかは分からないが、何にせよアフリカの蜃気楼に迷い込んだような読み心地だった。

Posted by ブクログ

2019/11/12

男は部屋に籠もっていた。 縦皺の刻まれたやつれた顔、しゃがれた低い声、そして心に深い傷。 彼はその心を一冊のノートに閉じ込めていた。 「いったいその男は何者なんだね?」 沈黙の後に誰かがそう尋ねた。 講釈師は答える。 「その男が死ぬ前におれに渡したノートがある。この秘密の本は...

男は部屋に籠もっていた。 縦皺の刻まれたやつれた顔、しゃがれた低い声、そして心に深い傷。 彼はその心を一冊のノートに閉じ込めていた。 「いったいその男は何者なんだね?」 沈黙の後に誰かがそう尋ねた。 講釈師は答える。 「その男が死ぬ前におれに渡したノートがある。この秘密の本は短いが熾烈な人生を送った人間が長い試練の夜を経て書いたものだ。 おれはこのノートを読み解き、この本が体内に宿ったことを感じた。おれがこの本なのだ。 この秘密の本に関心があれば、おれと共に七つの門を開けて行こう」 こうして始まった語りは、講釈師から別の男へ、そして奴隷の息子、引退した教師、旅をしてきた女性、盲目の異邦人へと継がれてゆく。 物語は、始まり、中断され、望まれ、繋がり拡がって行く。 話の続きをどうしても知りたいという人がいるなら満月の夜に月にたずねるがよい。 *** 読んでいるうちに幻想的な世界に入り込んでゆくような手法です。 イスラム社会における抑圧や女性差別、目上の者への反発などが現れていて、イスラ厶社会を考えると閉塞感と行き場のなさを感じますが、 読書としては文体を楽んだり、物語が続いてゆく様相を感じたり、人の人生に関して自分なりの想像を働かせたりという読み方ができます。 終盤ではアルゼンチンの巨匠ボルヘスを思わせる男が出てきます。アルゼンチンの図書館にいて老年期に盲目者となり、「円環の廃墟」の言葉を口ずさみ二つの夢を繋ぐ旅に出てアルターシムの物語を読む彼が、目が見えていた最後に心に残した女性の顔、とはなんともロマンチックな。 姉妹版として、この"語られていた人物"が自らの人生を語る「聖なる夜」があるということ。 本編「砂の子ども」においては抑えられていたこの人生の真実を聞きたいような、でも露わにしてしまうのは少しもったいないような気もしている。

Posted by ブクログ

2018/11/10

モロッコ市街の広場で小さな観客を相手にしながら、まるで『千夜一夜物語』のシェヘラザードのように、講釈師はとある男の物語を紡ぐ。七人続いた娘についに心を壊した父親は、八人目の娘を男として育てる事を決意する。胸に巻いたサラシと同様、心の自由も縛られた彼は、男と女の狭間で揺れながら、過...

モロッコ市街の広場で小さな観客を相手にしながら、まるで『千夜一夜物語』のシェヘラザードのように、講釈師はとある男の物語を紡ぐ。七人続いた娘についに心を壊した父親は、八人目の娘を男として育てる事を決意する。胸に巻いたサラシと同様、心の自由も縛られた彼は、男と女の狭間で揺れながら、過酷な運命を甘んじて受け入れるのだった。話のピークで講釈師が消え、観客だった者達が物語の語り手になり、そこに現れた旅人が話の接ぎ穂をさらい…、とアラブの口承の伝統を取り入れた、誠に美しい一冊。未だイスラム圏に存在する女性蔑視の風潮も、まさしく自分が中近東在住時に触れたもので、それをここまでの品に料理した作者には敬服の念しかない。モロッコの旧市街に一歩足を踏み入れ、扉をくぐり続けながら、迷宮に敢えて囚われ身を委ねたくなる事必至。

Posted by ブクログ

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