水に棲む猫

天沼春樹(著者)

• 販売会社／発売会社: パロル舎/
• 発売年月日: 1996/09/09
• JAN: 9784894191396

商品レビュー

2012/12/29

　水の国に還す祭儀として猫を川に流す遊びをする少年たちのはなし。痛くて、痛々しい。子どもの頃の残酷な遊びに過剰な意味を持たせることはよくあって、それが、大人への通過儀式にもなっている。ファンタジーとしての仕立て方が上手だと感じたのでわたしは好きだけど、好きじゃない人も多いだろうなと思う。古川日出男の猫小説を非常にダークにしたような感じだった。
　『夢童子』の方だったんだなあ。そして何ともパロル舎らしい本だと感じた。

2008/09/05

H9 日本児童文芸家協会賞受賞
1964年（猫は水の国で生きる。）祭司の少年に導かれ、子供達が秘密の儀式を進行するお話

2008/05/15

ある少年たちの痛い痛い日々を描いた物語。
少年たちはある儀式に夢中になります。それは猫を殺して川に流すこと。猫は死んだのではない、川の中で解放され自由に泳ぎ回るのだと少年たちはかたくなに信じるのです。だが、もちろん、こんな少年の日々が永遠に続くわけもなく、猫たちが川の中で解放されるわけもないのです・・・。

▲猫は静かに香箱をつくってぼくたちの夢想を待っている。猫は入り口であり、出口であり、案内人であり、油断のならない道連れで、そして、決して心を許さない相棒だった。いつ、むこうからすりよってくるか、また尻尾をたててどこかへ歩み去ってしまうかもしれないのだ▲

それにしても著者の天沼春樹氏、猫が余程好きなのか、あるいは嫌いなのか・・・。

読了2007／9／6