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イギリス人の患者 新潮・現代世界の文学
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イギリス人の患者 新潮・現代世界の文学

マイケル・オンダーチェ(著者), 土屋政雄(訳者)

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イギリス人の患者 新潮・現代世界の文学

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 新潮社/
発売年月日 1996/05/30
JAN 9784105328016

イギリス人の患者

¥220

商品レビュー

4.5

13件のお客様レビュー

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2022/02/03

いつの間にか流れ着いた四人の人々、それぞれがそれぞれの出自や過去を持ち、紡がれる散文的な物語はとても美しく淡い。 英国から大陸ヨーロッパ、人を惹き付けてやまない砂漠のアフリカ、インドと唯一の被爆国があるアジア。世界文学だ。

Posted by ブクログ

2019/08/31

素晴らしい作品でした。 この作品は「イングリッシュペイシェント」という映画で有名らしいのですが、私は読書案内を通して知り、このサイトで、フォローしてくださっている方に薦めていただいて、読み始めましたが、この作品を読んだことは、至福の読書体験でした。ありがとうございます。 今までに...

素晴らしい作品でした。 この作品は「イングリッシュペイシェント」という映画で有名らしいのですが、私は読書案内を通して知り、このサイトで、フォローしてくださっている方に薦めていただいて、読み始めましたが、この作品を読んだことは、至福の読書体験でした。ありがとうございます。 今までに読んだ本の中で最も素晴らしい作品のひとつであることは、間違いないと思いました。 本の出版年は1996年5月。 映画はアカデミー賞9冠。 英国ブッカー賞受賞。 文章全てがまるで全編、詩のような美さで、まず文章の美しさに惹き込まれました。 原作もさることながら、たぶん土屋政雄さんの訳文も、素晴らしいのではないかと思います。 ストーリーとしては、不倫の恋さえもこれ以上ないくらい美しく描かれ(不倫が美しいと感じたのはこれが初めてです)後半、日本への原爆投下がキーポイントにもなっています。 以下、抜粋した方がよくわかると思うので、抜粋します。 <訳者あとがきより> これは詩人の作品、夢見る人の作品である。オンダーチェは砂漠の砂嵐の中を歩き回り、ワイヤを通って爆弾の中まで入り込み、地図の上から蜃気楼の中にワープしてみせる。風の宮殿で井戸と井戸が交わす噂に耳をそばだて、泳ぐ人の洞窟で太古の神々を呼び出してみせる。(中略)時は第二次世界大戦の末期である。場所はフィレンツェの北、トスカーナの山腹に立つサン・ジローラモ屋敷。ここで四人の男女が出会う。若いカナダ人の看護婦はハナ。この戦争で、生まれるはずの子をなくし、父をなくし、何百人という兵士の死をみとってきた。ハナの父親の友人で泥棒のカラバッジョ。その特技を買われ、連合軍にスパイとして使われたが、ナチに捕らえられ、いまも拷問の後遺症に苦しんでいる。インド人でシーク教徒のキップは爆弾処理を専門にする工兵。不発弾や地雷の処理に、死と隣り合わせの毎日を送っている。自身はイギリスにひかれているが、故郷には過激な反英主義者の兄がいる。そしてベッドに寝たきりながら、その発揮する強大な求心力に三人をつつんでいるイギリス人患者。全身にひどい火傷を負い、顔の見分けもつかず、はたしてほんとうにイギリス人なのかどうかも疑わしい。心の内にそれぞれの物語を抱え込んだ四人が互いに相手の物語を読もうとし、そこにこのすばらしい小説世界が出現する。

Posted by ブクログ

2018/09/12

こういった戦争小説も書けるのだなと思わされた。きちんと磨かれた言葉を読むというのは、それだけで心地の良いものだ。さりとて、情緒だけで処理された小説などではない。砂漠のこと、爆弾処理のこと、大英帝国のこと、描写はきちんと名詞と動詞に支えられていて、強い。実はこの1行を書くために作者...

こういった戦争小説も書けるのだなと思わされた。きちんと磨かれた言葉を読むというのは、それだけで心地の良いものだ。さりとて、情緒だけで処理された小説などではない。砂漠のこと、爆弾処理のこと、大英帝国のこと、描写はきちんと名詞と動詞に支えられていて、強い。実はこの1行を書くために作者は数冊の本を読んだのではないか、そう思わされる描写が随所に閃く。はっとして振り返ったときにはもう消えているような、鋭い光芒である。 読み始めたときには、戦争や愛の妄執を書いた小説なのかなと予想していたが、必ずしもそうではなかった。謎の患者、若いカナダ人の看護婦、若さの盛りを過ぎたイタリア人の泥棒、シーク教徒の工兵、彼らは誰もが強い意志を持ってきちんと人生を切り開き、開いた果てにイタリア半島の陋屋で数ヶ月の時間をともに過ごすことになる。こういうふてぶてしい人物たちに、運命に翻弄されたなどという紋切り型の言葉はふさわしからぬ。万物流転としか言いようがないような気がしてくる。 読み終えたとき、ことによればこれはヨーロッパの物語として読むことも可能なのかな、そんな感想を持った。古い僧院に博識な患者、老獪なカラバッジョ、随所に引用される古い書物はいずれも豊穣を誇りながら老いゆく欧州の象徴に見えた。その後背地の砂漠、インド亜大陸、そして極東の日本までもがそれに対置される。若き看護婦、ハナが新大陸の出身である点も興味深い。優れた書き手は無造作であるようでいて、無駄な手など指さないものだ。 置いた欧州は死に、若いアジアは生き残る。おそろしい悲劇がひとつ物語の終結部をぎゅうぎゅうと締め上げはするのだが、そうであっても歴史は続いてくのだ。万物流転。そういうものがたりである。

Posted by ブクログ

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