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自我論集 ちくま学芸文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 筑摩書房 |
発売年月日 | 1996/06/12 |
JAN | 9784480082497 |
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商品レビュー
4.1
9件のお客様レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
『快感原則の彼岸』まで読了 前からフロイトに興味あったのと、野崎まど『バビロン』に出てきたのもあって読んだ。 フロイト自身認めるところだけど、特に確定的な根拠があるわけではなく、2つの概念の類似性とか、こういう風に考えるとそれっぽいんじゃないか、ということを指摘しているもので、まあだからこそ小説などの材料にしやすいところはあるなと思ったり。 書かれたのは100年近く前だと思うけど、それから生物学の発展とかからわかってきたことは何かあるんかな? 少し流し気味に読んだせいか、元の文のせいなのか、翻訳のせいなのかはわからないが、文のつながり、論理の展開がわからなくなることが多かった。 なので以下は間違って解釈してしまっている可能性が結構高い。あと、書いてあることそのままであることもあるし、勝手に解釈して付け加えているだけのものもある。 ・「快とは不快の減少、不快とは刺激の増大である」 「不快を減少させる、少なくとも増大させないように行動する」というのが快感原則の大枠 ・単純な快感原則では説明できそうにないような精神症状がある。例えば反復強迫。 ※反復強迫:過去のショッキングな出来事を何度も(無意識的に)想起したり、夢で見たりすること。 ・快感原則を推し進めるためにこれを欲動の働きとして説明しようとする。(これによって推し進められた到達点が「快感原則の彼岸」) ・反復強迫は以下のように不快を減少させようとする欲動の働きであると考察。 1.最初のショッキングな出来事で内部状態が乱される。 内部状態が乱れたことで、その乱れ自体が内的な刺激になる。 2.快感原則にのっとって、不快を減少させるために、乱された状態を戻そうとする。 3.何度も同じ経験を(疑似的に)することで、"慣れ"させることによって、元の状態に近い安定状態に近づけようとする。 ・この観察から、「すべての欲動は根源的には基底状態に戻ろうとする働きである」という仮説を立てる。 ・生命の基底状態は何か? 原初的には化学物質の偏りから生命が発生し、意識が発生したと考えられる。 →生命の根源的な欲動は「死」といえるのではないか? >いわゆる「拡散の法則」というものに従っているようなイメージだろうか。 >少し宗教的な雰囲気を持ってしまうが、語り口は論理的で、面白い思弁だと思う。 ・ただそれだけだと生まれた瞬間に死を求めて、存在しなくなってしまう。そこで、「生まれた瞬間の状態」に戻ろうとする欲動というものが対立項としてあると考える。これがいわゆる「エロス」、性欲動にあたるもの。 ・これは、DNAとかゲノムとかそういった遺伝単位の状態を維持しようとするという話だと思う。そして、そういったものを維持しようとしたダーウィニズム的な結果として、生命維持の欲求だったり、いわゆる一般的な意味での性欲(性欲'動'とは違う気がする)が発生する。 >進研ゼミ(と書いて『利己的な遺伝子』)でやったことある‼ ・この「生の欲動(エロス)」と「死の欲動(タナトス)」のバランスが崩れることが精神疾患の影響なのではないか? おおむね以上のように理解した。 宗教的なところを意図したところではないとわかってはいるが、根源的なところに死の欲動(というか無の欲動?)があるというのは面白い。 『バビロン』での「生(性)と死」のこの関係の活かし方は改めて面白いと思った。 また、途中であったゾウリムシの話も面白かった。 二つのゾウリムシがくっついて一つの個体のようになることがある。そうなるとくっついた後の個体は、くっつく前の二つの個体より「若返る」らしい。 物質的にはほとんど同じものが、くっつくだけで若返ることは少し不思議に思えるが、これも欲動の性質で説明できるのではないかとのこと。 つまり、2個体の時はそれぞれの物質はそれぞれの個体の中で「均一」な状態であったが、くっつくことによって「不均一」な状態が発生した。 この不均一を解消しようとする力が欲動、つまり生きるエネルギーなのではないか、ということ。 不均一さが生命エネルギーの源泉というのはテッド・チャン『息吹』を思い起こさせるものがある。 フロイト自身、誰かの詩の引用「人間はもともと手足は4本ずつ、顔も2つあったが、神様が半分に引き裂いた。だから元の体を求めるように男女はひかれあう」というようなことから、不均一なものを解消しようとする力があるのでは?ということを言っている。 そういえば『聖書』の中で、イブはアダムの肋骨か何かから生まれたんじゃなかったかな? 『自我とエス』以降も読み次第追記
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たまにはこういう難しい本を。もちろん全部を理解できてはいないけど、所々「なるほどなぁ」、「確かに」と思える部分はあった。今更ながらフロイトってすごいんだなと気づく。
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思考の変遷を辿れる、超自我がエスに近いもの、ということを全然認識していなかったのでなんかほんとにいままで雰囲気だけ味わっていたんだなと思った、解説もとてもありがたい
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