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二つの世界大戦 世界史リブレット47
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 山川出版社/ |
発売年月日 | 1996/09/25 |
JAN | 9784634344709 |
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二つの世界大戦
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商品レビュー
3.8
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木村靖二著『二つの世界大戦』(山川出版社) 1996.9.25初版発行 2022.4.19読了 はじめに第一次世界大戦と第二次世界大戦の関係性についての言及がある。イギリスのチャーチル元首相が両大戦をまとめて「30年戦争」と呼んだのに対し、著者は、イギリスの歴史家ホブズボームの20世紀論を引き合いに出しながら、20世紀の形成者としての両大戦の意味合いをより広い観点から考察している。 本書は非常に薄い本でありながら内容はかなり深い。 例えば「第一次大戦が、民主主義、民族自決権、国民国家システム、社会主義などを実現させた新時代を生み出したのにたいして、第二次大戦はこうした諸原理を否定するファシズムを打倒する目標が主で、新しい理念が提起されたわけではなかった」(p84) 「二つの大戦、すなわち二十世紀の『三十年戦争』の結果は、この国民国家システムを確定し、その内容が民主的な社会国家(福祉国家)でなければならないことを納得させた。国民国家をまとめ、個々の国民国家の暴走を防止する機構として、強力な権限をあたえられた国際連合が用意され、それをささえる国際経済・金融協力体制も構築された」(p87) 「戦後国際体制は、公式の国際連合と非公式の米ソ体制という二重の構造となったのである。この二重構造のなかでは、冷戦構造が圧倒的に大きな力をふるった。しかし、それは結果として、それぞれの陣営に組み入れられた国民国家に独自の行動の余地を与えず、その暴走をも封じ込めることにもなった。ここから離脱して国民国家の自立性を確保し、しかも暴走がありえないことを納得させる方法の一つは非同盟中立策であり、他は一定地域の国民国家の連合結成であった」(p88) などは読んでいて非常に面白い。 少なくとも、現代では、国民国家は終着点ではないことが自明となりつつあるのではないだろうか。 ※ 以下は第一次世界大戦終結までの内容をまとめたものである。 【1914年以前】 開戦前の欧米先進諸国は植民地支配による経済発展を謳歌していた。反体制運動は鳴りを潜め、国民意識(ナショナリズム)や国家所属意識が浸透していく一方、経済的な豊かさを隠れ蓑にして、古い政治体制が温存されたままでいた。 20世紀初めまで、ヨーロッパで一国だけが優位に立つのを阻止するイギリスの勢力均衡策によって、列強各国の対立はそこまで深刻ではなかった。しかし、ドイツが海軍力を増強しはじめると次第に関係が悪化していく。これまでの外交手段や方法が通用しなくなり、将来における列強としての地位の保障が見通せなくなっていった。 【第一次世界大戦】 1914年6月28日にボスニアのサラエボで、オーストリア皇位継承者が暗殺される事件が発生する。妥協はむしろ現状からの後退とみる認識が優勢となり、7月28日ついにオーストリアがセルビアに宣戦を布告する。8月1日ドイツがロシアに宣戦し、翌3日フランスに対しても宣戦する。4日にイギリスがドイツに宣戦したことでついに大戦となった。 当初は短期戦を想定していたドイツだったが、10月には備蓄弾薬が底を尽き、西部戦線は膠着状態に陥る。ここから総力戦という認識が芽生え、銃後から兵員や労働力、物資を動員することが重要視され、戦時経済体制の構築が着手されていく。産業構造を大企業中心に変容させていき、労働力不足を補うために女性や青少年が労働市場に新たに参入するようになった。国家によるプロパガンダも行われ、自国・自民族を賛美するイデオロギーと共にステレオタイプ化された敵国・民族・人種イメージが振り撒かれた。国民の支持を得ることが戦争継続に不可欠であるとの認識から、参政権が拡大されたりした。また、毒ガスや戦車、飛行機などの新兵器が開発され戦場に投入された。 1917年4月アメリカがドイツに宣戦する。ウィルソン大統領は14カ条の講和原則で列強の論理を超える原理を提示し、不十分ながら戦後秩序の新しい理念を示した。10月革命でロシアが倒れると、1918年3月3日ドイツはソビエト新政権と講和条約を締結することに成功する。戦力を西部戦線に振り分け挽回を図るが、連合軍の猛攻に遭い、11月11日に休戦協定に調印、事実上降伏して大戦は終結した。
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第1次~第2次世界大戦をわずか88頁で論じた重厚な一冊。「第二次大戦の基本的意義は、第一次大戦で出された諸原則の再確認、それを拒否するファシズムの否定」というのが、筆者の結論である。第一次大戦をほとんど経験しなかった日本には、感覚的には理解しにくい結論だけれども、理解できなかったがゆえに引き起こしたのが「十五年戦争」ということなのだろう。 上で触れたように筆者の結論はシンプルだが、これを導くまでのひとつひとつの文章には重みがあり、総てを理解するのは難しい。「本書を出発点にして、もっと学んでください」というのが筆者の主旨なのだろう。
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情勢の不安定な今だからこそこの2つの戦争を顧みる必要があると感じました。戦争被害人口の多さの比較をみるとソ連(スラブ、ユダヤ系)や中国の数が多く、ファシズム国家の非道な行いを二度と繰り返してはならないと感じました。
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