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地球政治の再構築 日米欧関係と世界秩序 朝日選書545
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 朝日新聞社/ |
発売年月日 | 1996/01/25 |
JAN | 9784022596451 |
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地球政治の再構築
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【まとめ】 <本書の目的> 国際関係学にグラムシ的なアプローチを導入することで、既存の国際関係学が前提とする国家中心主義と経済還元主義を回避し、脱国家的な社会勢力によってグローバル資本主義の現代的動態を分析。歴史ブロック、有機的知識人、ヘゲモニーなどのグラムシの概念を利用し、国際関係学を、階級横断的な社会勢力の利益に裏付けられた理念や価値に対する支持獲得過程として捉える。 <グラムシの考える秩序の安定> グラムシの概念は難しいが、批判を恐れず簡単に要約してみる。本書(1990年の書)の主張は既存の国際関係学が経験主義的であり、国家を単位に考え過ぎることへの批判とグラムシ的方法論による国際関係の分析にある。ここで権力は、ウェーバー的な権力論ではなく、他者との関係性を通し同意を獲得する力能として捉えられる—それがヘゲモニー。秩序(歴史ブロック)の安定は、覇権安定論の軍事や経済力の突出から導けない。秩序の安定は現実に物理的力の国際的配分(=数値で客観化出来るアメリカの力)と、それを正当化し「普遍的」だと納得させる、(支配的強国から出てくるであろう)支配的集団の理念や価値がズレなく調和する状態である。 <アメリカのヘゲモニーは衰退しない> だから、今の米国国際関係論は力を正しく捉えられないと批判。いくら指標上で米国の相対的な力が衰退しているように見えても、米国の持つ絶対的な力—国際機関やらそこで働く国際官僚、米国の為政者、学者などによって自らの消費主義や文化を広げ有利なように議論を導く力—を見ないと、米国の力を見落とすとして、アメリカの衰退論には否定的。米国学者が悲観的なのはおかしいねと主張(多分、同盟国への負担分有のための主張とも)。 この点から73年から始まる日米欧委員会に着目する。そこでは、戦後から60年代末まで存続したとされる秩序=「埋め込まれた自由主義」(国民経済の安定+自由貿易圏の拡大という二足歩行)が、70年代以降、後者有利なように崩壊していき、トランスナショナルな自由主義的経済秩序と呼ぶものへ移行する過程が見られる。そこでは米国籍企業を中心として、新独立国の市場を求める多国籍企業や資本市場を欲する資本家たちが国境を越えて連携し、新たな価値をエリート(有機的知識人)間に共有させていく。 <教育機関としての国際会議> そのように会議は各国エリートたちの「培養器」であるというのが筆者の見方で、アメリカの単独行動主義や孤立主義を回避する消極的側面だけでなく、(米国、というか米国資本に有利な)国際主義の精神を各国の知識人に共有させるという教育的側面もあった。その中には、戦後、重商主義的にやって来るのを許された日本が、国際的貢献としての自由化(後の前川レポートで結実)を要求される教育的側面もあった。 こうみると、アメリカの力は数値上で見るよりも衰えておらず、ヘゲモニーは衰退していない。けれども、一方で多国籍企業や資本家などは国境を越えて価値を共有することから、必ずしアメリカという国家単位だけでは捉えられない現象である。 【感想】 アメリカの経済や軍事力が相対的、数値的に弱まろうと、自由貿易は拡大する。世界でアメリカを嫌いだと言う人が増えても、アメリカへの留学は減るところを知らず、移民流入も盛んである。中国からの富裕層流出も止まらない。この磁力とネットワークを活かした価値の放射力、これがアメリカの力。アメリカが衰退しないという主張には同意できる。 日本にもいますね、何も言われぬうちからアメリカを忖度する政治家と官僚が—それでは同盟が「持たない」とか。アメリカの衰退を言うにはそういう知識人を学会や議員や官僚から淘汰出来て初めて可能になるのだろう。 革命で過去と切れており、価値という側面で何も無い中国に何が出来るか。誰がパチリ文化を「普遍」と納得するか。最近、中国がAKBに倣えとかアメリカにメディア設置するとか、文化を小手先で何とかしようとしている…自分たちの東洋の価値に還りたまえ。 そういえば、本書の主張と異なり最近(2012/APR)、米国学者は米国の衰退には否定的な気がする。軍事予算削減が徒に猜疑心を煽らないためとも解せるけど、そこんとこ関心あり。
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