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伽羅の香 改版 中公文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 中央公論新社 |
発売年月日 | 1996/07/18 |
JAN | 9784122026414 |
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伽羅の香 改版
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商品レビュー
3.7
13件のお客様レビュー
やっぱり、宮尾作品は力強い! こちらも続きが気になり、一気に読みました。 しかし、宮尾先生は女性を幸せにしないですね…。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
ある地方の豪商の跡取りとして生まれた1人の女性の生き様が、彼女の目指す香道とともに鮮やかに描かれている。 本を読んで感じるのは、世の無常。そして執着、嫉妬といった人の業。 香や茶を嗜み、穏やかで完璧な男性に見えた貢の裏の顔や、上辺は葵へ賞賛を送るばかりだった上流階級の人びとが持っていた葵への嫉妬や蔑視の眼差しを知るたびに、葵は傷つく。それでも自らの誇りを失わず、自力で立ち上がってゆく。葵のまさに伽羅を彷彿させるような気高さ、「葵」の名の通りの高雅さは、多気村でも東京でも、また時代を経て私たちをも魅了し続ける。 ----------- 主人公葵は、三重の山奥の多気村で一番の有力者である本庄家唯一の跡取り娘として、満ち足りた生活を送っていた。幼少から密かに慕っていた従兄弟と結婚し、多気村を出るべきではないという両親の反対を押し切って、東京で2人の子どもとともに幸せな結婚生活を過ごしていたが、30代半ばで夫が病死。悲嘆に暮れていた葵に、夫の父親である貢は香の道を勧める。幼い頃、貢が伽羅の香をたくのを聞き、天の羽衣を見たような心地になったことを思い出し、以後夫の弔いも兼ねて香の道に進む。 その後、天性の才もあり、葵は香道の修得において目覚ましい成長を見せる一方で、身の回りは不幸が続く。両親が相次いで亡くなり、更に香の道を教えてくれた貢も急逝。貢の遺書で、葵は亡き夫の長年の裏切りと貢の隠し子の存在を知る。その後娘、息子も結核で失い、失意のどん底の中で、香の仲間から、日本の香道の発展のため、中心になって皆を導いてほしいと祈られ、決意。彼女の邸宅はサロンと呼ばれ、戦後の華族や上流階級の心の拠り所と言われるまでに隆盛を極めた。貢の隠し子もそばにおき、楠子の心の支えの一つになっていった。また、香道の先祖である宮家の道隆に手づから香を教える中で、葵の中に恋心が芽生え、生きている実感を得ていく。 しかし幸せな時間は束の間、葵が全て費用を出し、心を込めて執り行った道隆への免許皆伝お披露目会 の帰り道、葵は転んで骨折。それを引き金に脊椎カリエスが発症。入院生活を余儀なくされる中で、葵は楠子の裏切り、道隆への香の会の会員の裏切りを知り、世の無常を思う。病床で全てを失った彼女の脳裏に浮かんだのは、多気村の美しい四季や、山の生活。これまで疎み続けてきた多気村へ、多くの荷物を供に帰っていくところで物語は終わる。
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香道をテーマとした小説。 香道ついては、全くと言っていい程、知識がなかったのだが、日本古来からの伝統文化の一つであり、その性質から、それに興ずるということは地位、富の象徴でもあったのだろう。 自分にとって興味深い発見でもあった。 香道は、香りを楽しむだけでなく、古の書物に記されて...
香道をテーマとした小説。 香道ついては、全くと言っていい程、知識がなかったのだが、日本古来からの伝統文化の一つであり、その性質から、それに興ずるということは地位、富の象徴でもあったのだろう。 自分にとって興味深い発見でもあった。 香道は、香りを楽しむだけでなく、古の書物に記されている香を再現する。その古に興ずる際、今のように視覚に訴えるものがないなか、五感の一つとして嗅覚を使っていた、ということだと思う。 確かに、映画などを観るよりも、嗅覚に訴えることは想像力、趣きが広がるような気がする。そして、とても贅沢なことかもしれない。 ヨーロッパでも香の文化があるが、文学的素養が必要という観点からも、日本の香道は、より高度な文化であると思う。 明治から昭和を生きる女性が主人公であるが、時代と共に変わりゆく家制度、身分制度に振り回されるなかにあっても、自尊の精神で凛として逞しく生きていく姿が清々しい。
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