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説得の論理学 新しいレトリック
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 理想社/ |
発売年月日 | 1993/10/31 |
JAN | 9784650104158 |
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説得の論理学
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新しいレトリック(議論の一般理論)に関する古典的名著
本書は,「新しいレトリック」の創始者の一人であるペレルマンによるハイレベルの概説書です。 著者であるカイム・ペレルマン(1912-1984)は,ポーランドに生まれたベルギー人であり,1934年にブリュッセル自由大学で法学の学位を取得した後,1年間ワルシャワ大学でポーランド学...
本書は,「新しいレトリック」の創始者の一人であるペレルマンによるハイレベルの概説書です。 著者であるカイム・ペレルマン(1912-1984)は,ポーランドに生まれたベルギー人であり,1934年にブリュッセル自由大学で法学の学位を取得した後,1年間ワルシャワ大学でポーランド学派の論理学を学び,1938年には,現代(数理)論理学の創始者であるフレーゲ(1848-1925)を扱った論文で哲学の学位を得ています。 著者は,本書を執筆する30年ほど前に,正義の問題を扱った論文を執筆しますが,これまで,多くの哲学者を悩ましてきた「価値判断」については,正面から論じることができませんでした(10頁)。 しかし,「価値判断」の問題を避けていたのでは,何も始まりません。そこで,筆者は,フレーゲに倣って,この問題をも,現代論理学によって決定できるのでないかと考え,価値判断が含まれる大量の資料の分析をオブレクツ=チュテカ氏と共同で行うことになりました(11-12頁)。 長期にわたる分析から得られた結果は,筆者にとっても意外なものでした。なぜなら,「価値判断特有の論理学」は存在しないこと,しかも,価値判断が絡む問題の解決策は,デカルトやフレーゲによって克服されたはずのアリストテレスの「レトリック」の中にすでに展開されていたことが明らかになったからです(12頁)。 そこで,筆者によって,アリストテレスのレトリック論を再評価し,現代にふさわしい新しいレトリックの理論を再構築する作業に取り組むことになります。 本書は,その成果の全体像を「議論による説得の論理」として明らかにするものです。 本書は,以下のような構成をとっています。 第1に,新しいレトリックがどのように形成され,従来の論理学,哲学とどの点が異なるのかが概観されています(はしがき,1章)。 第2に,新しいレトリックの構造はどのようになっているのかが,話し手(書き手)と聞き手(読み手)との相互作用として,具体的には,議論の前提,議論の提示,議論の解釈として述べられています(2章~5章)。 第3に,新しいレトリックの技法が,議論の結合と議論の分割との2つに分類されます(第6章)。 最初に「議論の結合技法」について,①準論理学的議論(7章),②現実在の構造に根拠を持つ議論(8章),③現実在の構造を根拠づける議論,すなわち,モデル(実例)による議論(9章)の3つが詳しく説明されています。 そして,それらに共通の問題として,修辞法の中心課題である「類比と隠喩」の関係が取り上げられています(10章)。 次に,矛盾等を回避して体系的な思考へと導くことができる「議論の分割技法」が詳しく論じられています(11章)。 さらに,新しいレトリックの技法のまとめとして,議論の厚みと強さが論じられています(12章)。 第4に,説得法,修辞法と並んでレトリックにとって重要な役割を果たしている配列法(言論における議論の順序)が簡潔に紹介されて,本論を終えています。 本書の特色は,最終章の「レトリック世界」(15章)にあります。 15章で筆者は,これまでの哲学の歴史を振り返り,アリストテレスのレトリックの考え方が,その後のデカルト,カント等のプラトン正統派とされる哲学によって,いかに貶められてきたのか,その原因はどこにあったのか,そのような批判を克服するために,レトリックの考え方をどのように再構成すべきかを簡潔に論じています。 この章を読み,その上で,これまでの伝統的な哲学の名作を読み直してみましょう。そうすると,これまでの哲学にも,無理なこじつけや詭弁が混じっているに気づくことと思います。そして,哲学とは,先人の教えに従うことではなく,先人の知恵を頼りに,「自分で考えること」であることを確認することができると思います。 本書は,インターネット時代を生き抜くための一般教養書として,レトリックを学ぼうとする人にとっても,また,新しい哲学を志す人にとっても,新しい発見をもたらしてくれる良書だと思います。
シゲトテレス