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魔都
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魔都
¥825
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商品レビュー
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13件のお客様レビュー
1934年大みそかの東京。来日中の安南国皇帝が失踪、その愛人は墜落死。翌日の朝、日比谷公園では噴水の鶴が歌いだす。警視庁の辣腕・真名古が解決に乗り出すが、デマ、誤解、密告が錯綜する。 連載作品でしかも口述筆記ということもあり、細部で矛盾が見られたり、謎が放っておかれたりする部分...
1934年大みそかの東京。来日中の安南国皇帝が失踪、その愛人は墜落死。翌日の朝、日比谷公園では噴水の鶴が歌いだす。警視庁の辣腕・真名古が解決に乗り出すが、デマ、誤解、密告が錯綜する。 連載作品でしかも口述筆記ということもあり、細部で矛盾が見られたり、謎が放っておかれたりする部分もある。さらには、どれが真実でどれがデマかに惑わされ、犯行全体の動機、経過は部分部分で告白されるのをつなぎ合わせて整理する必要がある。 ラストは呆気にとられる終わり方。講談調の語り口や、読者に呼びかけたりと、人を食ったような十蘭節。登場人物は当時の有名人などのパロディとなっているらしい。
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1935年の東京を舞台にした推理小説「魔都」。 マッドサイエンティストが登場したり、295カラットのダイヤモンド争奪戦が繰り広げられたり、地下迷宮が閉所恐怖症の読者を苛んだりと、「中二病」的な要素がゆんゆん漂う、戦前の怪作。 ミステリー小説を読むときには犯人捜しをせずに向き合う...
1935年の東京を舞台にした推理小説「魔都」。 マッドサイエンティストが登場したり、295カラットのダイヤモンド争奪戦が繰り広げられたり、地下迷宮が閉所恐怖症の読者を苛んだりと、「中二病」的な要素がゆんゆん漂う、戦前の怪作。 ミステリー小説を読むときには犯人捜しをせずに向き合うことをモットーとしている私には、アドベンチャーゲームのごとく帝都東京の猥雑さを味わうことが可能な本作は、好相性だった。 東京という土地が有するモンスター性。魔と称するべきか、迷とも冥とも称するべきか。癖になる混沌。
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「夕陽新聞」の記者である古市加十(ふるいち・かじゅう)が、日本にやってきた安南国の皇帝である宗龍王と出会って意気投合するも、王の愛人である松谷鶴子(まつたに・つるこ)が転落死を遂げるという事件に巻き込まれてしまいます。一方、夕陽新聞の編集長である幸田節三(こうだ・せつぞう)は、日...
「夕陽新聞」の記者である古市加十(ふるいち・かじゅう)が、日本にやってきた安南国の皇帝である宗龍王と出会って意気投合するも、王の愛人である松谷鶴子(まつたに・つるこ)が転落死を遂げるという事件に巻き込まれてしまいます。一方、夕陽新聞の編集長である幸田節三(こうだ・せつぞう)は、日比谷公園の噴水の鶴が歌い出すという記事をでっちあげ、一儲けする算段でいたところ、不思議なことに鶴の置かれているところから、安南国の国歌が流れ出します。鶴子の殺人事件が外交問題に発展することを恐れた日本政府でしたが、真名古明(まなこ・あきら)警視がこの事件の真相を突き止めようと駆けまわります。 1935年の「魔都」東京の魅力を特徴的な文体でえがきだしており、濃密な作品世界に読者を引き込みます。「二十四時間に起こったことを一年間の連載でかく」という著者の意図にもとづいて書かれた作品で、取っ散らかった印象を受けるひともいるかと思いますが、ストーリーやキャラクターの魅力だけではない、読書のたのしみを改めて感じさせられました。
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