旧約聖書時代の諸民族

D.J.ワイズマン(編者), 池田裕(訳者)

• 販売会社／発売会社: 日本基督教団出版局/
• 発売年月日: 1995/10/25
• JAN: 9784818402218

商品レビュー

2022/12/31

筑波大学名誉教授、池田裕 監訳；卒業生、唐橋文，古畑正富，榊原容子，斉藤妙子，田澤恵子 訳。
筑波大学の授業科目「オリエント史概説ａ」「オリエント史概説ｂ」の指定参考書。
多彩な議論と民族。

地理、歴史、言語、宗教などを項目別にまとめたり、時系列に沿って記述する章があったり、議論テーマをひとつに絞り基本情報の無い章など、良くも悪くも内容は多彩である。各章に著者一人、訳者一人の分担で、内容だけでなく書き口やテイストにも差がある。各民族(章)間の比較がしにくいのが難点だろうか。
エジプト人の章はプロの翻訳家が訳しているだけあってテンポ良い言葉選びで非常に読みやすく、情景のイメージが湧いてすばらしい。各章でエジプトの王朝年代を参照されるので、まず第4章から読むと全体像がつかみやすくて良いかもしれない。
ひとつの章の民族を記述するのに、他章の民族が残した史料を参考にする。各章は独立しているというよりも、多重的な関係性が見えてくる。異なる言語で記述された史料に音が似た言葉があったとき、それが同じ概念を表現しているのか…といった議論をベースに展開される。特に第一章はヘブル人と、ハビルの関係を追及する。
現代の研究内容が主で、聖書の記述を抜粋してまとめた本では無い。対応箇所の節番号が付されるが、聖書の前提知識があったほうがよいか。

目次
0.諸民族と諸国民
1.ヘブライ人
2.カナン人
3.ペリシテ人
4.エジプト人
5.アモリ人
6.アラム人
7.アッシリア人
8.バビロニア人とカルデア人
9.ヒッタイト人とフルリ人
10.モアブ人とエドム人
11.フェニキア人
12.アラブ人とエチオピア人
13.ペルシア人