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山びこ学校 岩波文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 岩波書店/ |
発売年月日 | 1995/07/18 |
JAN | 9784003319918 |
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商品レビュー
4.2
20件のお客様レビュー
カバーには「読む者の心を強く打たずにはおかない克明でひたむきな生活記録」とありますが、しみじみ感慨にふける本でないことが、長い「あとがき」ではっきりしました。緑帯でなく青帯の所以かと。 私が通った学校は、著者の薫陶をうけた教師が多かったように聞いていますが、生徒としても早くに読ん...
カバーには「読む者の心を強く打たずにはおかない克明でひたむきな生活記録」とありますが、しみじみ感慨にふける本でないことが、長い「あとがき」ではっきりしました。緑帯でなく青帯の所以かと。 私が通った学校は、著者の薫陶をうけた教師が多かったように聞いていますが、生徒としても早くに読んでいたら、もっと受け取れるものがあったかどうか。
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山びこの響くような学校。そんな場所に建つ学校を見つけるのは今では難しいことだろう。私は山びこ学校から喚起される情景に思いを馳せながら、本書がいつ頃の年代に書かれたのかと思い、裏表紙から数ページ遡った。するとそこには「1995年」とある。いや、そんなわけはないだろうと思ったが、そ...
山びこの響くような学校。そんな場所に建つ学校を見つけるのは今では難しいことだろう。私は山びこ学校から喚起される情景に思いを馳せながら、本書がいつ頃の年代に書かれたのかと思い、裏表紙から数ページ遡った。するとそこには「1995年」とある。いや、そんなわけはないだろうと思ったが、そういえばこの本は一度絶版になり、その後に世の人の声を受けまた出版された経緯が書いていたと思い出した。そう、1995年とは岩波文庫版の初版であり、実際は1951年に青銅社から出されたものがほんとうの初版である。 1951年と言われると私はとても納得感があった。この納得感は「このような生活をしている子供が1995年にいるわけがない。1951年ならいそうだ」という意味である。このような生活とはすなわち、百姓の家に生まれた子供が、学校に行くことよりも家業の手伝いを優先せねばならないような家庭環境にあり、同時に貧困にもあえいでいる状態である。 まさにそのような生活をしていたのが、本書序盤に掲載された「母の死とその後」を書いた江口江一くんである。彼曰く、彼は住む村でもいちばんぐらい貧乏なのだという。彼の母は亡くなったが、貧乏なために病をおして働き、病の発見が遅くなったためになくなった。江一くんはいつも「なぜわが家は貧乏なのか」を考える子どもだった。その考えの蓄積は本書の元となった学校の生活作文集の一つとなり、そこで彼は自らがなぜ貧乏なのか、そして将来どのようにしてそこから脱却するかを記したのだった。自らの困窮や不幸をクラスメイトにさらけ出し、学校でそれを作文集として公にすることなど今では不可能であることを考えれば、彼の作文が現代にとって貴重な記録となり得ることは疑いない。また前述のとおり、1990年代になってから岩波書店から再版となったのも時代の要請あってこそであると推察される。 今も昔も変わらず、貧困の多くは再生産され貧困家庭の子供はまた貧困に陥ることが多い。しかし彼のように自らの貧困を認め、どのように脱却するか論理的に考える機会を得れば、貧困のサイクルは変わるかもしれない。あらゆる子どもたちに教育を行き渡らせることは、堅固な理性と考える力によって自らの将来を創ろうとする子どもたちの育成にとって重要であるが、江一くんの場合がそれを私たちに教えてくれている。彼がその後どうなったのかは私にはわからぬことだが、彼の作文から彼の将来の明るさを感じた読者は少なくないはずだ。
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母の父親がまさにこの学校の生徒であったということもあって読んでみました。 決して豊かではないが、そんな環境でも楽しくたくましく生き抜いた子どもたちに自分は贅沢は言ってられない!、今あるものでも充分楽しみ生き抜いていくことはできるのだと感じました。
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