ディオン・スターファイア(3) 獅子のめざめ 富士見ドラゴンノベルズディオン・スタ-ファイア3

マーガレット・ワイス(著者), 小林理子(訳者)

• 販売会社／発売会社: 富士見書房
• 発売年月日: 1995/04/30
• JAN: 9784829141892

商品レビュー

2024/09/06

正体を現した傀儡師。噂のアドニア星人も登場。サガンとメイグレイも対立し、究極兵器をめぐって四つ巴の戦いに。

コレイシア星人との戦闘はひとまず終結し、舞台はいったん裏切りの戦場となったデファイアント号へ。上に立つ者の自覚が出始めたディオンは作戦の指揮と、ある大胆不敵な行動に出る。サガンに捉えられたディクスターを置いて、メイグレイはラスカル星へ旅立つ。そこに潜む宇宙の命運を握るカギをめぐって、やがてすべての役者が集結する。

デファイアント号でとったディオンの行動に驚き。あなた主人公ですよ！？それは直接描写されず、サガンの部下から語られる。ほくそ笑むサガン。「あの若者には最初に思ったより多くのものがあるのかもしれない」しかし、これ以後、ディオンは自らとった行動を悪夢に見るようになる。ここはマーガレット・ワイスらしい人物の描き方だと思う。
王の自覚とともに苦悩する主人公。ブラッド・ロイヤルの血が半分であるがゆえと、その性格も相まって宿命の重さを感じさせないタスクと、いつの間にかがっつりその恋人になっているノラが同行するのが救いだ。メイグレイの連絡を受けた彼らはラスカル星へ向かう。

いっぽう先にラスカル星に到着したメイグレイはアドニア星人の武器製造業者スナガ・オーメと接触。そこで衝撃の存在が明らかにされる……。なんともSFを感じさせるこの究極の力の登場により、物語は俄然面白くなってきた。ここでメイグレイは欲望の魔力にとらわれそうになる。

P310　「では、なぜわたしが支配してはいけないのか？」メイグレイは問いかけた。クリスタル・キューブをつかみ、指でなめらかで冷たい側面をなでる。鋭く尖った角が皮膚を刺す。「わたしは王政を再建しよう。わたしの支配は公正で、公平で、賢明になるだろう。ディオンを導き、王になるように育てあげよう！」

なにこれ指輪物語？と思ったらすぐにその名前が出てきた。

同　「わたしは昔の物語に出てくるガラドリエルのようであるべきなのだろう」彼女は苦々しくいった。「〈小さくなりましょう。そして、西に向かいましょう〉そうはいかないわ、わが君！ホビットが指輪をくれたのだから、そうですとも、わたしはそれを使うつもりよ！」

すごい偶然だが、先日Amazonプライムで始まった「ロード･オブ･ザ･リング: 力の指輪　シーズン2」でガラドリエルが指輪を手にするところを見た当日だったので、以降メイグレイがガラドリエル役の女優モーフィッド・クラークのイメージでしか思い描けなくなってしまった（笑）。実際、作中で描写されている容姿と似ているし、その立場や、戦士のような行動力にも合い通じるものがある。

さしずめサガンが反逆の天使ルシファーなら、メイグレイは指輪を持つガラドリエルといったところか。いっぽう、異色の魅力をもつイケメンのアドニア星人スナガ・オーメと別に、ラスカル星では“もう一人の人物”がディオンを待ち受けていた。恐るべき闇の傀儡師。究極の力をめぐって、この四者が陰謀と策略を錯綜させる。そして傀儡師の術中に嵌ったディオンの運命はいかに……。

対立しつつも惹かれ合うサガンとメイグレイ、ひとり運命に耐えるディクスター、苦悩するディオンを支えるタスクとノラ、独特の魅力をたたえるスナガ・オーメ、いかにも黒幕的な存在感のアブデル、物語のカギを握る超アイテム、役者が揃っていよいよ面白くなってきた。ドラゴンボールでいうとナメック星編。次巻が楽しみだ。

2024/04/10

敵性宇宙人の侵略を退けるものの、ついに姿を現す黒幕！最終兵器の所有を巡る陰謀と駆け引きが始まる！な3巻。前述の通り登場人物たちが感情のままに動くの比べて、脇役とか敵役のほうが冷静で筋の通った行動をとるから好感が持てちゃうのはどういうこと？