エイズ 予防から共生へ かもがわブックレット74

小田切明徳(著者)

• 販売会社／発売会社: かもがわ出版/
• 発売年月日: 1994/08/05
• JAN: 9784876991488

商品レビュー

2011/01/31

HIV　エイズ・ウイルス　ヒト免疫不全ウイルス
１９８３年　フランス　パストゥール研究所　モンタニエ氏らが発見
レトロウイルス　レトロ：逆　ヘルパーＴ細胞に入り、逆転写酵素の働きでDNAをつくり、宿主の遺伝子に組み込まれ、潜伏する。このウイルスは発症するまでの時間が長いのも特徴の一つ。HIVが増殖する時、めまぐるしい勢いで変異をする。そのため、ワクチンをいくら作っても間に合わない。

HIVとの共生　研究　治療　エイズの発症を遅らせる　日和見感染症を抑える
限られた感染経路　非常にうつりにくい性感染症（STD）
最大の予防法は、質の高い性教育の徹底
HIVはプライベートな行為で感染する。恐怖を煽り管理しようとすればするほど、地下に潜伏し蔓延する。

HIV感染者は、日常生活を何の支障もなく送ることのできる健康者。入院する必要はない。発症すると、様々な感染症にかかりやすくはなるが、軽症なら普通に暮らせる。

PWH People With HIV HIV感染者
PLWH People Living With HIV　HIV発症者
地域・職場・学校などで周囲の人達と共に過ごすことができる。

２１世紀は、あらゆる事柄を世界中で共有する時代。環境汚染、感染症、戦争、経済。この数年を、ただ眺めて通り過ぎるのか、共に生きるために行動するのか。

知は力　若者を信頼して真実を語るのか、神（権力者）に猛進する若者づくりをするのか。
学ぶことにより、自分の性を自律しつつ、相手の性をよく知り、よりよいあり方を試行する。
科学的性教育
性についての自己決定権

日本社会の民主化の不徹底は天皇制の存在と性差別に象徴的に現れている。性教育の遅滞も性差別の一因だ。　「性教育」山本宣治

ウイルスは悪者ではない。撲滅の対象ではなく、共生の対象。共に生きる道を追求する必要がある。

エイズの予防キャンペーン　エイズへの恐れ　感染者への差別
感染者は「押し黙り、涙ながらに堪えている」石田吉明
ダブル・メッセージ　自分を安全圏においての啓蒙活動　「怖いイメージ」で関心を引き、恐怖をかき立ててから「感染者と共生しよう」というメッセージを受け取った人は、自分には無関係と思い、身近に感染者が現れても差別するようになるんじゃないか。

性のオリエンテーション　性の指向性　大部分の人が異性愛（ヘテロ・セクシャル）だが、６－９％は同性愛（ゲイ・セクシャル）の傾向がある。中には、両性愛者（バイ・セクシャル）や性的にはまったく関心のない人もいる。性のあり方は多様だ。

エイズ・ウイルスに感染したからといって、すぐ「死」に結びつくわけではない。
猿のエイズ・ウイルスは、すでに猿と共生関係にある。１０年以上もエイズが発症しない人もいる。
ウイルスとの共生関係

エイズ発症　免疫のシステムが破壊され、日和見病状が現れること。日和見病状も、医者や研究者の努力により、現在ではかなり抑えられる。早期に医療機関にかかることで普通の生活を続けられるようになっている。

「感染」と「発病」は違う。感染しても、免疫が十分働けば発病しない。これを不顕性感染という。免疫機能を最大に発揮するには、栄養をとりしっかりした免疫抗体づくりに励むことだ。