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イェルサレムのアイヒマン 悪の陳腐さについての報告
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | みすず書房 |
発売年月日 | 1994/08/10 |
JAN | 9784622020097 |
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イェルサレムのアイヒマン
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イェルサレムのアイヒマン
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商品レビュー
4.4
25件のお客様レビュー
この本はアーレントの有名な「悪の陳腐さ」という言葉が生まれた作品になります。 アーレントはこの作品でナチスのホロコーストにおける恐るべき殺人システムの背景を考察します。 アイヒマンは極悪人ではなく、どこにでもいそうな人間であった。これが世界中を震撼させることになり、同時に激し...
この本はアーレントの有名な「悪の陳腐さ」という言葉が生まれた作品になります。 アーレントはこの作品でナチスのホロコーストにおける恐るべき殺人システムの背景を考察します。 アイヒマンは極悪人ではなく、どこにでもいそうな人間であった。これが世界中を震撼させることになり、同時に激しい論争を引き起こすことになりました。
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※このレビューにはネタバレを含みます
ホロコーストでユダヤ人虐殺を主導したとされたアイヒマンはその果たした役割は主体的ではなく、ドイツの法令を遵守し協調的で受動的な人物であることが裁判を進める上で明らかになる。 ユダヤ人虐殺はなぜこれほどまでの被害を出したのか。それは怪物のような人物のとてつもない悪意が原因でなかった。 独裁者ヒトラーにより定められた法律は他の国家では認められない行為を奨励するようなものであった。そのナチス国家の悪法を遵守することが、本来人として持つべき良心と一致しない場合に、どうして良心の声に従うことがなかったのか。 一つは自己欺瞞である。良心が咎める行為を用語規定により「殺害」を「最終解決」などのように抵抗のない言葉に言い換えたり、響きの良いスローガン、決まり文句で表現するなどし、自らの行為を誤魔化していた。 二つ目は意志を尊重する近代的な考え方を悪用したものである。彼らは良心を誘惑として捉え、それを意志により克服することで人道的に抵抗のある命令に対し、良心に負けずそれを実施することを奨励された。 三つ目は、被害者であるユダヤ人自身の抵抗が少なかったことである。ユダヤ人社会が無国籍・亡命・自国籍という複層構造を成しており、帰属が薄いユダヤ人から順に自ら組織的に収容所への移送することに協力してしまったことによる。この処置に抵抗があればナチス側も妥協していることから、抵抗を抑えてまでユダヤ人問題を解決するほどの意志はヒトラーを除く軍担当者にはなかった。 ホロコーストがこれほどの規模になってしまったことは、アイヒマン個人が寄与することはないことは明白であり、尚且つその罪をイスラエル国家が裁くものではない。 本来、戦争裁判は国際法のもと国際裁判で裁かれるものである。 参加国がそれぞれ別に定めた法律を遵守したことに起因した被害が戦後において実施者本人が問われることがある。それを他国の法律または国を超えた人道的な罪として適切に裁くことができるのかという疑問がある。 それは法律が国の範囲で効果があり、それぞれ異なる立場のもとで発布されることから、それを遵守することによる衝突は戦争状態によって普通に発生するが、責任をそれを命令のもとに実行した各個人に帰して良いのだろうか。 そのロジックにおいては再現なく責任を問えるため、戦争に参加したものは全て有罪となってしまう。 このような法令と良心の適用範囲を異なるという構造のもとでは、誰もが板挟みに遭い罪に問われてしまう可能性がある。しかし、アイヒマンが罪に免れることができない点として、彼が実行の効率や指揮系統などの方法にのみ関心を払い、実行する行為そのものの内容にその注意を向けていなかったことが挙げられる。 彼は悪意ではなく、見るべきものを見て考えるべきものを考えなかったことにより裁かれることとなった。
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アイヒマンのエルサレムでの裁判でのアイヒマンの説明及びアイヒマンのユダヤ人の移送の役割について説明されている。悪の陳腐さということは最後に出てくるし、裁判の判決理由はあとがきのみで説明されている。 日本では、アイヒマンがユダヤ人差別をしてアウシュビッツにユダヤ人を送って大量殺り...
アイヒマンのエルサレムでの裁判でのアイヒマンの説明及びアイヒマンのユダヤ人の移送の役割について説明されている。悪の陳腐さということは最後に出てくるし、裁判の判決理由はあとがきのみで説明されている。 日本では、アイヒマンがユダヤ人差別をしてアウシュビッツにユダヤ人を送って大量殺りくをした、という単純な形で語られている。しかし、東ヨーロッパの国々が様々にユダヤ人の財産を奪い強制収用をおこなったり、財産と引き換えに自国からユダヤ人を排除した、ということは、この本以外にはあまり説明されてこなかった。 雑誌に掲載されたということで、ハンナ・アーレントの文章の中ではもっとも読みやすいものと考えられる。
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