生命論パラダイムの時代

日本総合研究所【編】

• 販売会社／発売会社: ダイヤモンド社/
• 発売年月日: 1993/09/30
• JAN: 9784478800225

商品レビュー

2021/10/23

　1993年発行とのことだが全く色褪せていない。むしろ「現在（いま）」に必要な本である。インターネットがあり、シャノンのおかがで様々なことが情報になった今、ほとんどのことがソフトウェアにより処理されることで価値を生むことができる。よってこの本が提唱する「生命論的パラダイム」を実装し改良を加え続けることができるようになったからである。
　「生命は開放系における散逸構造を持つ」ということを提唱したイリヤ・プリゴジンと論客による共著という体の本である。確かにインターネット業界におけるワーディングには、本書に出てくる言葉が多数出てくる、オープンシステム（開放系）、エコシステム（生態系）などなど。全世界的に「生命論パラダイム」が浸透しているという証拠であるようにも思われる。
　書籍のタイトルにある「生命論パラダイム」の反対にあるのが「機械論パラダイム」である。後者は様々な技術革新を産み出したという恩恵もあったが公害等の解決困難な問題も生じさせている。前者に基づく考えた取り入れ、包括的に考えるために「生命論」、その基本原理として「開放系における散逸構造」があるとする。
　1993年と言えばインターネットは既にあったのだが電子メールが中心だったと記憶している。Webが勃興する以前である。この「生命論パラダイム」は考えとしてはあっているのだが、実現げ難しいはずである。つまるところ「やってみる」ことなしにそれが全体的に機能するかどうか解らないということである。当時はまだまだ「機械論」、機構により様々なものが実装されていた時代なので安易に試すことはできなかったはずである。