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青い小さな葡萄 講談社文芸文庫
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青い小さな葡萄 講談社文芸文庫

遠藤周作【著】

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青い小さな葡萄 講談社文芸文庫

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 講談社/
発売年月日 1993/02/09
JAN 9784061962125

青い小さな葡萄

¥220

商品レビュー

3.8

7件のお客様レビュー

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2010/05/28

戦争というものから人…

戦争というものから人間同士の醜い争いに代表される汚らしさなどを考えさせられる。

文庫OFF

2023/12/12

「神を持たぬ者が背負う十字架」 読了後にふと頭に浮かんだのは、そんな言葉だった。主人公である井原という日本人は、戦後まもなくのフランスはリヨンに留学している。設定上、彼は信仰を持たない。彼は自身が黄色人であり、戦争で数多の人を殺した日本人であることをこの留学を経て思い知らされ、...

「神を持たぬ者が背負う十字架」 読了後にふと頭に浮かんだのは、そんな言葉だった。主人公である井原という日本人は、戦後まもなくのフランスはリヨンに留学している。設定上、彼は信仰を持たない。彼は自身が黄色人であり、戦争で数多の人を殺した日本人であることをこの留学を経て思い知らされ、それから逃れようとしている。この男が、パストルという女性を探す戦争で右腕を失ったドイツ人と出会うことから、物語は進む。 この物語は、多分に遠藤周作個人の留学の記憶が下地となっている。出版されている作家の日記や、『留学』を併せて読めば、これはすぐにわかるだろうと思うし、『海と毒薬』のテーマに近いものも感じる。むしろ、下敷きとも言えるほど、この作品は小説にしては荒削りである。どのように小説化するのか、その悩みをそのまま書いているし、遠藤自身がまだ何をこれで書きたいのか、掴みきれていない感じも見てとれる。しかし、書こうという熱意、これがこの作品には詰まっている。作家が作家になる軌跡を読んでいるようで、個人的にはこの点が好ましかった。 『海と毒薬』に近いテーマ性を感じたと書いたが、この作品はことごとく人間の醜悪さ、しかも善にかこつけた悪を凝視するような作品だ。小説の題名になっている「青い小さな葡萄」は、キリスト教で言うところの「徴(しるし)」のことだろうと思うが、これは戦下で右腕を失ったドイツ人にパストルがよこしたものだった。しかしこの葡萄の存在は、つまり徴(しるし)は、物語の最初から最後までその存在を証明されていない。『沈黙』にも通ずる、徴(しるし)を探して、つまりは「青い小さな葡萄」があったか否か、パストルという慈悲深い女性がいたか否かを確かめようとする男たちを際限のない重い暗闇が包んでゆく。 「善と悪の共犯関係」 こんな言葉も浮かんでくる。誰も「憎まれるために生きたんじゃない」(作中にある言葉)。しかし、この世界に登場する人物は、好むと好まざると、宿命的に大きな十字架を背負って、そして他人の背負っている十字架を探して安堵しているのだ。 果たして、井原である遠藤は、この先の物語で徴(しるし)をどう扱うのか、個人的にはこの点に最も興味を持った。彼の作品を追うなかで、彼がこの「青い小さな葡萄」を見つけたのか否か、動向を追ってみたいと思う。

Posted by ブクログ

2021/09/16
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

フランスのリヨンを舞台に、霧深い町中に沈んでいくような感覚で主人公と共に真相を追った。 第二次世界大戦、ドイツ占領下フランスでの抵抗運動。戦争の残した憎しみや罪の意識が人々に暗い影を落とす。どんなことが起こっていたかを知ったとき、主人公の感情の移り変わりが手に取るように分かり、闇ともいえる見苦しさをそれに認め…けれど私は決して責められない。それが人間だと思うからだ。 歴史をもっと知らなくてはいけないし、忘れてはいけないと強く思う。

Posted by ブクログ

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