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勇魚(下) 文春文庫
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商品詳細
| 内容紹介 | |
|---|---|
| 販売会社/発売会社 | 文藝春秋 |
| 発売年月日 | 1992/12/10 |
| JAN | 9784167220044 |
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勇魚(下)
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商品レビュー
4.2
6件のお客様レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
小説の作中、太地の鯨取り達がしきりに呟く「鯨の数が減っていること」について、捕鯨業の拡大とその結果の乱獲という背景は読者にはあらかじめ想像される。鯨取りも時代と無縁でないが、彼ら鯨取りには、当時の時代の動きと目の前の窮迫との因果関係を結びつけて理解できない。この時代にはその理解する思想がまだない、が一つの前提にある。 上巻の内容は冒険活劇的と文化誌的興味とが半ばで、甚助がジム・スカイの名を得て再生する過程は第二十章まで。下巻でのジムの活躍は、侍の刀に象徴された身分や権威との力関係を覆しえたことの「証明」過程になり、幕末維新の価値観の変転とそれがシンクロする痛快なものがあります。ただし、小説はまだ終わっていない。 ここまで、いわば運命への復讐者として振る舞ってきた甚助自身への報いもあるはず。読者が読みながら気にしていることは、甚助がジム船長になっていく過程で後に残してきた二つの過ち――ひとつは、松平定頼と音信途絶の結果、定頼や伊藤との信頼関係が失われたのではないか。もうひとつは太地に残したおよし・三郎への責任を精算していない。これらが仇になって、成功者として大成したところの甚助は刺されて死ぬんじゃないかと結末を予想するわけです。 ところが、読者には意外なくらいこの衝突は平穏に回避され、終盤のジムは激動する日本を離れて去って行ってしまう。甚助は日本人として日本でやるべきことはやり終えてしまうが、まだ小説は続いている。定頼・伊藤の最期、太地の鯨取りらの壊滅、およしの諦観、彼らは彼らなりに悲壮、ヒロイックに描かれる一方、当初の主役であった甚助は立場がスライドしてそれらの物事に対しては傍観者になる。 たとえば『モンテ・クリスト伯』と『虎よ!虎よ!』とを読むと復讐者フォイルのキャラクターなどは後の方ほど目的が拡散して弱いような印象があります。なぜだ、と思う。この『勇魚』では、日本の語られざる時代英雄、ダークヒーローだった甚助がついには時代の目撃者=語り部になって物語を終える。次の時代の主役は誰かの興味も引き続き、最後の締めまで含めて名作です。わたしは今頃に読んでは遅かったと思いました。
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上巻についですぐ読みました。 甚助も立派になりアメリカ人となりました。 松平氏が薩摩藩士として死ぬのは残念。 明治政府に対する著者の考えがあまり深くかけていないのが残念。 最後は燃料切れでしょうか。 日本の歴史小説では日本の英雄 坂本龍馬だとか勝海舟の活躍にスポットを当てが...
上巻についですぐ読みました。 甚助も立派になりアメリカ人となりました。 松平氏が薩摩藩士として死ぬのは残念。 明治政府に対する著者の考えがあまり深くかけていないのが残念。 最後は燃料切れでしょうか。 日本の歴史小説では日本の英雄 坂本龍馬だとか勝海舟の活躍にスポットを当てがちですが 米英の都合でそうなったということをさらりと書いてあるので勉強になります。 日本がどういう方向にいくべきかなんで幕末に正しく読める人はいたのでしょうか。 とりあえず武器をもつことが大切だったのはわかる。 思想や人間性より武器となったが明治維新か。うーむ。
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下巻では甚助、松平定頼そして太地と三つの物語が別々に紡がれる。琉球から上海に渡った甚助は、アイルランド人のフォガティ船長の元で職を得た。隻腕の日本人が真面目に実績を積む中、中国人海賊団にフォガティ船長の船が襲撃を受ける。この窮地を甚助の獅子奮迅の活躍により脱し、このことにより甚助...
下巻では甚助、松平定頼そして太地と三つの物語が別々に紡がれる。琉球から上海に渡った甚助は、アイルランド人のフォガティ船長の元で職を得た。隻腕の日本人が真面目に実績を積む中、中国人海賊団にフォガティ船長の船が襲撃を受ける。この窮地を甚助の獅子奮迅の活躍により脱し、このことにより甚助は上海の西欧人社会での英雄となり、また、フォガティ船長との深い絆で結ばれることになる。一方、定頼は井伊直弼の直接密偵の使命を帯び浪人に身をやつしながら反幕府の勢力を探るなか桜田門外の変で井伊直弼が水戸藩の浪人の凶刃に倒れ、紀伊藩に復活する道が絶たれてしまう。定頼が紀伊藩士時代に海岸線を歩いて認めた海防の書が攘夷の志士も認めたことから定頼自身も幕府から追われる身となり薩摩藩にかくまわれるようになり、やがて薩摩藩に召抱えられる。時代が大きくうねりながら変遷する中、別々の物語が再び撚り合される。フォガティ船長の息子ライアルの元で遂に船長となった甚助は、薩摩、長崎への回航の帰り、故障を装い太地湾に停泊し秘かに家族の元を訪れる。実に日本的なきめ細かい情緒を描写した名著だと思う。本書の終盤に甚助が銛一という性を名乗る場面がある。甚助の孫、銛一三郎が帰国して帝國海軍に士官し大活躍する次の物語と繋がっていく。
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