ケルト人のガリア戦記 Adventure World1

原修二(著者)

• 販売会社／発売会社: 新紀元社
• 発売年月日: 1990/11/18
• JAN: 9784915146404

商品レビュー

2012/03/15

ローマ人の物語を読んでいて、気になったので読んだ。ガリア戦記をケルト人の立場から捉えるとあるが、史実に忠実なのか想像なのかよくわからなかった。疑問は以下の点に尽きる。ガリア人は文字を持たなかったのに、どうやってガリア人の見方を知ったのだろうか？ 面白そうな題材なのに残念な本だった。
●面白かった点
なし(ローマ人の物語と比較するのは酷だが・・・)
●気になった点
史実か想像かがはっきりしない。
図があるが、読んでいる最中にどこを見たら良いのかがわからない。まだ解説していないところの図も出てくる上に説明がない。

2009/03/22

ガリア戦記がカエサルの政治的プロパガンダであった事は自明の事実である。歴史的第一級史料ではあるが、カエサル本人によって自己の宣伝も兼ねて書かれた戦記である以上、自らの正当化の為に事実の歪曲、捏造などは相当入り込んでいると考えるべきだろう。本来ならばガリア、ローマ双方の史料をつきあわせるべきなのだろうが、当時のガリアでは文字で記録するという習慣がドルイド教により禁じられていて、それゆえにガリア側の史料が存在しない以上我々に真実を確かめる術は残念ながら無い。この本はカエサルのガリア戦記においてガリア人が随所に見せる「ローマ隷属への忌避と自由への希求」を根底にガリア戦記の行間を読みとることを目的としたガリア戦記解説本といえ、地図や挿絵、図解も豊富でガリア戦記がよくわかる資料本となっている。この解説本と共にガリア戦記を読めば、やたらと多いガリア諸部族の名や登場人物達の理解もたやすく深まることだろう（笑）ガリアはカエサルに敗れてローマ化しその後二度とローマに対し反乱を起こすことはなかった。ローマ化、文明化した恩恵を享受しながらフランスは発展したが、やはりガリア人はフランス人にとって自由を求めて戦った誇るべき祖先だ。ケルト人のガリア戦記は無いが、ちょっとだけ当時のガリアを知りたかったらフランスの大人気漫画＋アニメ「アスタリクス・オーベリクス」がお勧めだ。（野蛮だけどとっても元気なガリア人達の愉快な話で、たまにローマ軍にちょっかいを出して、おっかないカエサルにお灸を据えられている。でもめげない奴ら）ローマによるガリア征服によって文明の民となったけれど祖国の自由を求めて戦った勇者達の記録「ガリア戦記」というのが愛国心あふれる現代フランス人の偽らざる本音なのだろう（＾＾）