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魯迅の生涯と時代 レグルス文庫189
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魯迅の生涯と時代 レグルス文庫189

今村与志雄(著者)

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魯迅の生涯と時代 レグルス文庫189

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 第三文明社
発売年月日 1990/07/20
JAN 9784476011890

魯迅の生涯と時代

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2025/12/10

筆者は魯迅関係の本を読むなかでよく目にする学者である。彼は魯迅をどう見ているのか、確認のつもりで手にした。前半の「はじめに」から「魯迅の生涯と時代」の章がこの本の枢要な部分である。魯迅の歴史的・社会的な存在意義を要領よくまとめている。 彼の研究を彷彿させる濃密な内容だ。 あとは魯...

筆者は魯迅関係の本を読むなかでよく目にする学者である。彼は魯迅をどう見ているのか、確認のつもりで手にした。前半の「はじめに」から「魯迅の生涯と時代」の章がこの本の枢要な部分である。魯迅の歴史的・社会的な存在意義を要領よくまとめている。 彼の研究を彷彿させる濃密な内容だ。 あとは魯迅のことも2、3章あるが、後半は関連の人や茅盾の話で付け足しのようでもある。 清朝末期の中国では文学は道徳的・倫理的原理の「道」を伝達するものであった。表現方式は用語の選択が厳しく俗語の使用を嫌った。啓蒙思想家梁啓超らの俗語で書いた小説・戯曲・翻訳は革新的であったが文学とは認められなかった。そうしたなかで1917年に雑誌『新青年』を拠点に文学革命が始まる。 胡適は「文学改良芻義」という論文で言文一致を主張し、陳独秀は「文学革命論」で文学の内容の変革を唱え文学改革に思想運動・政治運動を意味付けた。 口語文学運動が反儒教運動となり、文学のための文学という考えや新しい理想を伝達するための文学という考え方が主流になる。 弟の周作人も「人間の文学」を発表して個人の家族主義や倫理(道徳)の重圧からの解放を主張した。 1918年魯迅は小説「狂人日記」を発表した。 それは中国近代文学に礎石をおいた作品であった。 被害妄想患者の手記形式で家族制度と儒教イデオロギーを「人を喰う」ことに仮託して鋭く攻撃した。 人間解放・変革の象徴的小説であった。 1921年から翌年に「阿Q正伝」を発表する。 阿Qというルンペン雇農を中国社会の半封建的半植民地人間の典型で奴隷根性の化身と表現し諷刺した。 「孔乙巳」も清末の家族制度と礼教の弊害を憂憤し読書人の精神的勝利法を揶揄した。科挙体制批判である。 「開拓者としての意味ばかりでなく‥‥中国民衆に対する限りのない愛から発した行動だからであろう。 中国民衆の病弊に対する彼の見解は暗黒的に見えるほど深刻であったが、それは同時に愛でもあった。」 彼は自由を守る文学者組織の中核となって抵抗を続け、常に左右両翼の攻撃と論争の目標になった。 文学革命は1919年の五四運動によって大規模な民衆運動に吸収される。 魯迅の作品集はすべて五種ある。 ・小説集三種『吶喊』『彷徨』『故事新編』 表現の深刻さと形式の特異さが認められた作品群 ・自伝的回想記一種『朝花夕拾』 「藤野先生との友情は闇のなかの一筋の光のように 周囲の闇が暗いので明るく見えた」 ・散文詩集一種『野草』 である。 評論家燿秋白は魯迅の文学精神を四つに要約した。 ①現実主義②ねばりづよい戦闘③反自由主義④反虚偽の精神、反自由主義は「フェアープレイは見合わすべし」とも表現し敵への寛恕は仇になることをいい、人は生きねばならないことを何よりも強調した。 筆者はあとがきで、これを「7冊目の文集」という。それが彼のこの作品への姿勢を表わしている。 彼のそれまでの論考やメモをまとめて一冊にしたもので、全体の脈絡がなくばらばらな感じが強い。 出版冊数を数えるよりも、一冊一冊を思いを込めて大事に編集すべきである。 同じあとがきで書いている。 若い中国文学専門家に毛沢東が魯迅を「中国の聖人」とまでたたえたことは魯迅の正しい理解と評価にはマイナスではないかと質問された時に「極限状況にある場合、魯迅の文学はそれを読む者に、そこから立ちあがろうとする力を与えたこと、これからも与えるであろうこと、そのことだけは言っておく」と。

Posted by ブクログ