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マルクス遺稿物語 岩波新書100
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 岩波書店 |
発売年月日 | 1989/12/20 |
JAN | 9784004301004 |
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マルクス遺稿物語
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マルクス遺稿物語
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商品レビュー
3
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※このレビューにはネタバレを含みます
1989年刊。著者故佐藤金三郎は元大阪市立大学教授、補訂者伊東光晴は京都大学経済学部教授。 資本論は、実はマルクスの手によるものとしては未完のままで残されたことは、その筋では著名のようだ(個人的には新奇)。 そして、それを補充・整理し、世に出したのはマルクス死後のエンゲルスの地道な作業の賜物であった。 このエンゲルスの晩年の苦闘を、軽やかな筆致で描き出す人物評伝。それが本書である。 エンゲルスは、悪筆と整理下手のマルクスに、その死後苦しめられた点と、その悪筆を読める後継人材を育成しようと努めたあたりに、マルクスと対極のエンゲルスの用意周到な性格を伺い得ようか。
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マルクスの死後、『資本論』第2・3巻を含む彼の遺稿のゆくえと、それを取り巻く人びとがたどった数奇な運命を生き生きと描いている。 エンゲルスは『資本論』第2・3巻を出版するために、マルクスの読みにくい文字を解読する作業に取り組んだ。その後彼は、遺稿判読の仕事をカウツキーとベルンシ...
マルクスの死後、『資本論』第2・3巻を含む彼の遺稿のゆくえと、それを取り巻く人びとがたどった数奇な運命を生き生きと描いている。 エンゲルスは『資本論』第2・3巻を出版するために、マルクスの読みにくい文字を解読する作業に取り組んだ。その後彼は、遺稿判読の仕事をカウツキーとベルンシュタインの2人に引き継いでもらおうと考える。だが、カウツキーとルイーゼの離婚は、彼とエンゲルスとの間に亀裂をもたらすことになる。その後、マルクス家の家政婦を務めたニムが亡くなったあと、ルイーゼがエンゲルスのもとへやってくる。だが彼女の存在は、マルクスの娘エリナの猜疑心をあおり立てることになった。 本書の完成を待たずに著者が亡くなったため、エンゲルスの死後の展開を伊藤光晴が「終章―「物語」その後」の中で補足している。マルクスの遺稿はエリナとドイツ社会民主党にゆだねられ、その後、ソヴィエト・ロシアのマルクス=エンゲルス研究所とアムステルダムの社会史国際研究所で保管されている。
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書名にあるとおり、本書の目的は『資本論』原稿の「解読」そのものではなく、原稿がたどった波瀾万丈の物語を紡ぐことである。しかしここでは、本書にも垣間見られるマルクスの有名な「悪筆」について特に取り上げたい。 先ずは、著者本人がアムステルダムの社会史国際研究所で実見した感想である。 ...
書名にあるとおり、本書の目的は『資本論』原稿の「解読」そのものではなく、原稿がたどった波瀾万丈の物語を紡ぐことである。しかしここでは、本書にも垣間見られるマルクスの有名な「悪筆」について特に取り上げたい。 先ずは、著者本人がアムステルダムの社会史国際研究所で実見した感想である。 「マルクスの書体はたしかに読みにくいが、けっして読めないということはない。むしろ、私を悩ませたのはマルクス独特の略字法であった。たとえば初版本の書き込みにあった“Bdfsse igd ein”という文字を“Beduerfnisse irgend einer”と解読できるまでには約一週間かかった」 マルクスの書体を「象形文字的書体」と呼んだエンゲルスは、それを解読できる人材を育成する必要を認め、カウツキー次いでベルンシュタインをその任に当てた。エンゲルスはある人物への書簡にこう記している。 「あなたは、ウィリアム(マルクスの筆名)の小さな筆跡をご存じです。草稿ではそれがもっと悪いのです。というのは、それには推察しなければならない略語、抹消、解読しなければならない抹消上への訂正の書き加えが含まれているからです。それは、合字のある、抹消古文上に再記したギリシア語写本を読むのと同じくらい判読しにくいものです」 浅学の私にはイメージしにくい比喩だが、確かに何だか判読しにくそうではある(笑)。「bやzの高さは1ミリ半、tは1ミリ、nは3分の1ミリ位」(田中菊次)という極小書体もさることながら、原稿解読のポイントはむしろマルクス独特の略字法にあったようだ。
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