三浦梅園 人物叢書 新装版

田口正治【著】

• 販売会社／発売会社: 吉川弘文館
• 発売年月日: 1989/06/01
• JAN: 9784642051613

商品レビュー

2021/06/16

江戸時代に独創的な自然哲学を構想した三浦梅園の生涯を解説している本です。

梅園の生涯と親類、そして彼と交友のあった人びとについて、ていねいに紹介がなされています。そのさいに著者は、「門弟や友人関係等も、すべて梅園の詩文集や書簡を中心に取扱うようにした」と述べており、史料となるテクストの引用が頻繁になされていて、くわしい内容になっています。

梅園の主著である『玄語』の思想については、本書ではそれほど立ち入った説明はなされていません。著者は、「西洋哲学の専攻者には、とかく漢文で表現されたものに困惑を感じ、一方、東洋哲学専攻者には西洋哲学の素養に乏しく、それ程の興味も感じないといった状況で、一応は『玄語』を開いて見るが、本気で読破するという努力が払われていない」と述べて、これまで充分な取り組みがなされてこなかった梅園の研究状況を振り返り、その後梅園研究の機運がしだいに高まっていったとしています。ただ、なにぶん古い本なので、現在の梅園研究の状況について本書から知ることはできず、その点ではすこし不便に感じました。

2006/10/10

江戸時代の思想家、三浦梅園の入門書。高葛坡について調べている過程で読みました。
梅園三語といわれる『玄語』『贅語』『敢語』について、梅園の生い立ちと思想について、丁寧に述べられてます。
巻末の略年譜が三浦梅園と同時代の文人たちとの交友を知る上で参考になります。